川島劇場跡

東山鉱山の男たちが毎夜芝居見物に訪れたという。

(徳島県吉野川市川島町川島町東)

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川島が一番にぎやかだったのは戦前で、美郷村の東山鉱山の鉱石を鉄道で積み出していたころだという。

そのころ鉱山の男たちが毎晩のように芝居見物にきていたのが川島劇場という芝居小屋だった。

場所は阿波川島駅から北へ行ったところで、今は住宅街の中の畑地になっている。

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この畑に劇場があり、回り舞台もあったという。右奥に見える緑色の屋根の住宅のあたりが楽屋だったそうだ。

かなり立派な芝居小屋だったらしく、寄せ太鼓の櫓もあったらしい。その太鼓を叩いていた男性は「トザイのモイちゃん」という二つ名で呼ばれていたそうだ。寄せ太鼓の掛け声が「トザイ、トーザイ」だったからとか。

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美郷の東山鉱山から阿波川島駅までは鉱石を運ぶ索道が通じていた。嘘かホントか、川島駅に遊びにくる男たちの中には、索道のゴンドラにぶら下がって山脈を越え、駅近くで飛び降りて歩く者がいたという話もある。確かに車道を通るのにくらべて索道は近道だったろう。

東山鉱山にも映画館はあったはずだが、毎夜上演していなかったのかもしれないし、外の空気や出会いを求めてマチまで遊びに来たのだろう。

(2007年01月07日訪問)