モーラミャインへ向かうため、ジャイン川左岸街道へ出る。アトラン川の下流域にはアトラン・モーラミャイン橋1箇所しか架橋がないので、少し大回りになるがジャイン川に沿って戻るしかないのだ。
タラナ村の付近で家の前に小舟を置いている家を見つけた。
この道はもう5度くらい通っているのだが、これまで気付かなかった。
小舟を支える柱はまだ出来立てみたいだから、最近置かれたものなのだろう。
どうやらここは船大工の家で、看板として小舟を家の前に置いたようなのだ。
仕事中だったが、見学させてもらうことにした。
「儲かってまっか~?」
「ぼちぼちでんな~」
なんて小粋な会話は出来ないのだけど、写真を撮る許可をもらった。
手作りの丸鋸盤、ちょっと怖いなあ。
でもこうしたシンプルな道具で水の漏らない舟を作っていくのだ。
作っていたのは竜骨のない平底のボート。
以前、ドゥインセイッ村で見せてもらった造船所と基本的には似ている。ただし以前見たのはあばら骨のような
完成したボートを見ると、細い肋材は付いているので後から取付けるのか。
「このボートいくらするの?」
電卓を渡して入力してもらった。
20万チャットか。約1.6万円。都市部のホワイトカラーの初任給くらいだ。中国製の100ccのオートバイの半額くらいの値段。
外国人だからってぼったくり価格を言ったのではなく、本当の定価なんだろう。観光地は別として、ミャンマーの田舎でぼったくり価格を言われることはほぼない。
ちなみに、ミャンマーの通貨の単位は「Kyat(チャット)」で通貨記号は「MMK」。
観光ガイドなどには触れられていないが、家とか車のような大きなお金を扱う場合に慣用的に「Lakh(ラック)」という単位を使う。10万を意味する言葉で、このボートは20万チャットだから2ラックということになる。大ざっぱに1ラック=1万円の感覚でとらえるととっさのときに間違わない。
(2019年07月18日訪問)
ミャンマー 湖の上でくらすスミンミャ (世界のともだち)
単行本 – 2015/8/28
森枝 卓士 (著, 写真)
amazon.co.jp