山門の左手前に鐘堂がある。つまり回廊の外側に独立して建てられているのだ。
当サイトで妙応寺型回廊と呼んでいる伽藍配置では、鐘楼は山門の右側で、回廊の折れ曲がる角付近にある場合が多いので、この寺はちょっと変則的だ。元々の配置ではないのかもしれない。
山門から右側の回廊をみたところ。
三間三戸楼門というのは、このように間口全体が通路になっていて、1階に仁王像などが配置される部屋が存在しない楼門のことだ。柱だけがあるので、回廊も壁に接続できず、こんなふうに門とは疎結合になってしまっている。
楼門は鉄砲階段で高欄に登ることができる。
ちなみにこれが高欄に階段をつけるときの一般的な納めかただ。昨日みた摩尼寺の楼門がかなり異質なことがわかるだろう。
山門の右側回廊は、ほぼ庫裏の角に一致していて、確かに右側に鐘楼を作る余地はなさそう。
だがその一方で、回廊はT字型に突き当たっていて、右方向にも伸びている。
その先には東司・湯屋(と思われる)建物がある。
T字路の部分。
妙応寺型回廊では東司・湯屋は庫裏の手前側に配置されることが多いので、回廊が庫裏の角に接合した場合、このように山門より手前側に突き出すというのもひとつの解といえるだろう。
東司側から回廊をみたところ。
続いて、山門の左側の回廊を見てみよう。
こちらは山門から少し伸びたところで切れていて、その先の堂とは接合していない。
写真の奥の堂は、位牌堂のようだ。本来であれば禅堂がある位置だが、この位置に位牌堂がある構成は山陰ではわりとよく見かけた。
回廊の中心から山門側をみたところ。回廊の内部には放生池があり、石橋がかかっている。放生池も禅宗の伽藍には重要な要素なのだ。
回廊の中心から本堂側をみたところ。
境内の正面にある本堂。
本堂の左側の位牌堂。
本堂の右側の庫裏。
本堂の左奥に石段があったので登ってみた。
本堂の裏側には凸型に飛び出した部分がある。
想像だが旧位牌堂ではないか。この位牌堂が手いっぱいになって、禅堂の位置に新しく位牌堂を立てたのではないかだろうか。
あるいは、こういう位置に開山堂がある場合もあるが、屋根が切妻で、「堂」というほどの独立性ではないので開山堂の可能性は低いと思う。
石段を登ったところには、寄棟の妻入りの質素なお堂があった。
開山堂ではないかと思う。
四天柱に囲まれた内陣のような場所に床がなく、へこんだようになっているのがめずらしい。
開山堂の奥にもうひっとつ小さなお堂がある。
足王大権現とある。
どんな神様なのかは不明だが、おそらく足腰についての御利益がある神様なのだろう。
気になるのが祠に円窓があること。ここから神様が出動するという感じ? 中に動物が巣を作らないように網がしてあった。
奥の院付近にあった舟形の水盤。
(2005年05月04日訪問)
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ムック – 2023/1/24
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