小泉八雲の『日本の面影』のなかに子育て幽霊の物語が触れられている。赤子を身ごもったまま死んで葬られた女が、墓地で子を産み、渡し賃の六文銭で飴を買って子どもに与えたという怪談だ。その舞台がこの寺なのだという。
山門前には小さな地蔵堂がある。子育て幽霊となにか関連のあるものなのか。
山門は下半分を石垣としたえもいわれぬ形状。
横から見ると、石垣には傾斜が付いているので、袴腰といえばいいか。あるいは、強引ではあるが門全体は「竜宮門」の一種と言ってもいいのかもしれない。
上半分は木造で虫籠窓のような窓が付いている。
後ろからみたところ。
この寺の最大の特徴なので、いろんな角度から見ておこう。
本堂は入母屋の大棟や妻部分が損傷し、屋根の左半分の隅棟が崩落してしまっている。
それでもなんとか応急処置をして建物の腐食だけは回避しているようだ。
本堂の右側には玄関と庫裏。
本堂の軒下には鬼がわらやシャチホコが保存されていた。焼き物ではなく来待石製である。
先ほどの天倫寺の総門も箱棟が石造だった。松江地方に多い構造なのか。
(2005年04月30日訪問)
古建築の細部意匠
単行本 – 1972/6/10
近藤 豊 (著)
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