宗隣寺。国指定名勝の庭園があるというので来てみた。
寺は宇部市の市街地の小さな丘陵にある。
山門は四脚門。RC造打ちっ放しという珍しい構造。悪くないと思う。
でもコスト的にどうなんだろう。外材使った木造のほうが安くできるんじゃないかしらん。
山門を入ると、正面に寄棟造りの本堂。
境内はこじんまりとしている。
本堂の左側には位牌堂。
禅寺だし、関東の感覚では座禅堂かな?と思わせるような配置、外観だが、山口ではこのような位置に位牌堂があるのが一般的。
本堂の右側には庫裏。
屋根がボロボロでブルーシートが掛けてある。
庫裏のさらに右側には竜宮型の鐘楼。RC造。
鐘楼に登って、境内を見まわす。
境内は入口の狭い巾着のようなくぼ地にあるので、寺の周囲は森しか見えず、周囲の喧騒からは隔離された静かな空間になっている。
庭園は本堂の裏側にある。庫裏で拝観受付をすれば見学できる。
庭園の名は「竜心庭」という。
敷地を囲む斜面をうまく使った設計だ。この斜面の裏側には4車線の県道が通っているのだが、そんな雰囲気は微塵もなく、むしろ無限の奥行きを感じさせる。
市の案内によれば、南北朝時代の築庭で江戸中期に改修されているが、県内最古の庭園という。でも、山口の旅では雪舟(室町)築庭とされる庭をいくつも見たような気がするが、あれは全部伝説なのかな・・・。
庭園の型式は蓬莱式。
奇をてらったところがなく質素だが、見飽きない美しい庭だ。
池の岸辺に並行に石が並んでいる。これは
このくぼんだ石組みを
初めて聞いた言葉だ。
毛越寺は浄土式庭園なので全体的に海浜がモチーフになっているので干潟があるといえばあるのだろうが、宗隣寺の干潟のほうがよりわかりやすい気がする。
池の左端には釣殿風の茶室がある。
本堂からは竹を束ねただけの質素な橋が架けられているが、これは実際には渡れない橋なのだろう。
禅を感じる。
茶室は湿気が上がりやすいのか、かなり痛んできていて、屋根も崩れかけていた。
竜心庭は山口の旅で見た庭園のなかでは、特に印象深い美しい庭だった。あまり観光客もおらずじっくり観賞できるのもいい。オススメのお寺だ。
(2004年05月04日訪問)
図解/古建築入門: 日本建築はどう造られているか
単行本 – 1990/11/1
西 和夫 (著)
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寺院建築の架構が最も理解しやすく書かれている本だと思います。