津和野町の西側の山並みの南麓に
実は、今回は山口の旅のつもりだったので、津和野町つまりは島根県の範囲の下調べをしてこなかったのだ。当日、町の案内板を見ながらの観光となっている。
この神社の前の左右の道は、馬場になっている。
馬場は2本あり、こちらは内側の道。
この神社は津和野城主の吉見氏が鎌倉の鶴岡八幡宮を勧進して建立したという。この馬場も鶴岡八幡宮を倣って作られた。馬場としては非常によく旧態をとどめており、神社以前にまずこの馬場自体が見ものだ。
では神社を見ていこう。
鳥居は両部鳥居なのだが、馬場に見とれて写真を撮り忘れた。(写真左隅に赤い柱が見えている)
鳥居を入って参道の左側に水盤舎。
その右側には社務所がある。
社殿は山口県に多く見られる楼拝殿造り。ここは島根県だが、文化的には山口県と近いのだろう。
拝殿の左右には翼廊があり、内部には随身が祀られている。随身門と言ってもいいのかもしれないが、通行できないので、やはり門とは言い切れない。
楼拝殿の中の随身。
地蔵格子がじゃまでよく見えない。
楼拝殿は中で行き止まりになっていて、その先には太鼓橋がある。
おみくじの販売機は正面パネルが分割されているタイプで、販価は最安値の10円。通常、アルミパネルのエッチングで作られている文字版がいっさいなく、文字はすべて手書き。また、くじの取出口の構造も板金という素朴な造りだ。みくじ販売機の中では古いタイプと思われる。
楼拝殿の後ろには幣殿、その背後は石の間を経て本殿へ通じている。
本殿はこけら葺きの流造り。
ガイドによれば、室町末期の建築で県文ということだが、そこまで古い建築には見えなかった。
覆屋は近代のもの。
本殿の左側には末社の稲生社。
稲生社のさらに左には末社の淡島神社。
末社としては大きな部類で、拝殿と本殿が分かれている。拝殿は切妻平入りで凸型をしており、凸部に流れ造りの本殿が収納されている。
拝殿の内部を覗いたら、たくさんの人形が奉納されていた。勝手に奉納したという感じではなく、専用の棚が作り付けられているので、奉納していいですよ、ということなのだろう。
淡島神社の本社は和歌山県にあるが、そこも人形供養で有名な神社だ。淡島神社と人形にはなにか関係があるのだろうか。
全体的に天神さまの土人形が目立つ。島根県浜田市で作られている長浜人形という民芸品で、わたしも小さな天神さまを1体持っている。
手前の扇子を持っているのは清姫とされるもの。
こちらはちょっと作風が違う。
やはり清姫か。
本殿の覆屋の周囲にも奉納するための棚が作られていた。
拝殿の床下にはモモの種みたいなものが大量に入れてある。何だろう、祭のときにでも使うのか?
淡島神社まえには倉庫のような建物があった。
(2004年05月02日訪問)