午後のひと仕事を終える。帰国便は夜の遅い時間なので、空港に向かうにはまだ早い。かといってヤンゴンから離れてパンチのある観光スポットへ行くにはちょっと遅い中途半端な時間だ。
こうなってはヤンゴン市内のパゴダを消化するという作業モードに入るしかない。
最初に向かったのはヤンゴン空港の北のほうにあるチャイカロッパゴダだ。
この寺は「ヤンゴンマンダレーハイウェイ」という幹線に面している。ヤンゴンからバゴー方面に向かうとき、路線バスじゃなくて、チャーター車などを使い有料道路料金もいとわず時間を節約したい旅客が通る道だ。
初めて仕事でミャンマーに来たとき、車窓から「大きなパゴダがあるな」と思って見ていた寺だ。そのときは、まさか自分がこのパゴダに来ることになるとは思いもしなかった。
寺の山門は層塔の巨大な建物になっている。並みの寺ならこれが本堂かと見まがう大きさ。
この山門あたりの景観は、カバーエーパゴダと酷似していて、写真だけ見せられたら見分ける自信がない。
門の後ろには回廊がつながってる。
カバーエーパゴダではこの部分が土産物屋街になっていた。
回廊の内部。
仲見世などはなくひっそりと静まり返っている。
不思議なのは、回廊を進んだ正面にパゴダがあるのではなく、回廊がクランク状になっていることだ。
そのクランク状になっている部分には、信徒休憩所のような部屋がある。
それと、履物預かり所。
山門のところでサンダルを脱いだが預かり所がなかったので手に持ってきたのだ。
これをここで預ける。
料金は決まっていない。私はいつも1足につき50円払うことにしている。渡しすぎかもしれないが。
回廊はクランク状に折れ曲がって、パゴダ拝殿へと続いている。
パゴダ拝殿の内部。
パゴダ拝殿の横から外へ出てみた。
パゴダの外周を歩くためである。
仏殿っぽいものがある。
仏殿の内部。
過去七仏堂か?
パゴダ付属のタコンタイ。
石柱のてっぺんにもパゴダがあるという発想力が乏しいタイプ。
パゴダ本体の形状は、シュエダゴンパゴダの小さなコピーのような感じ。
手前の建物からパゴダの中腹へ向けて、索道が付いている。
索道の起点は、黄金のシンティワリ堂の中にある。
索道のゴンドラ。
パゴダへ寄進をすると、お金をこのゴンドラに入れてパゴダへと運んでくれるのだ。
シンティワリの賽銭箱はネコに占領されていた。
その横にはシンウーパゴ堂。
僧は午前中しか食事をとることができないので、時間を気にしながら食事をしているという場面。あるいは、法力で太陽を戻している場面ともいう。
顔の向きはめずらしい左向き。花御堂の上に時計がついていて、時間を気にしなくていいようになっているのが面白い。
パゴダのまわりには他にも小さなお堂があり、それぞれ定番の仏像や神像が祀られている。
この寺の特徴ともえるのが、境内にある大きな池だ。
池のほうへ降りていく通路があるので行ってみた。
池のほとりには釣殿みたいなお堂がある。
内部に祀られているのはシンウーパゴとムチャリンダ仏。
左右両方の向きの像が並んで置かれていた。
ムチャリンダ仏は、嵐のときに龍王が釈迦の瞑想をサポートした場面を再現したもので・・・
・・・あれ!? 仏像の奥で女たちが池に何か投げ込んでる!
バケツみたいなものの中身を池に入れていた。
聞いてみたら、牛乳を投げ込んでるという。
釈迦が悟りを開くまえ、スジャータという女性が釈迦にミルク粥をほどこしたという説話にもとづく奉納だろうか。
投げ込まれた牛乳はにじむように池に広がっていく。
特に、池の魚や亀などが喜んでいるという様子はなかった。
よく見ると、バレエシューズみたいなものも一緒に浮かんでいる。これも奉納なのだろうか。
池の中央では泳いでいる男がいる。
日本だったらとんでもない状況だが、ミャンマーでは「ふーん、魚でも捕れるのかな?」という程度の、すぐに忘れてしまうようなありふれたできごと。
池のほとりにはほかに、いろいろな神様が集められたお堂があった。
内部にはヒンドゥ教の神様や、ミロク、観音菩薩などがいた。
(2015年11月22日訪問)