仕事が終わって帰りぎわ、職場の前の道を見たら、人だかりができていた。
これは満月から3日のあいだ続く、ニーバンゼィという路上接待だとのこと。近所の人がやっている。
「ニーバンゼィ」とは「陽の当たるお店」というような意味らしい。「露店」という程度の言葉かもしれない。
お接待しているのは「ヤッカイモンティ」というヌードル。ミャンマーのラカイン州の郷土料理だという。
もちろん、通りがかった人はだれでも接待を受けてよい。私たちもさっそくいただくことにした。お返しに喜捨などをする必要はないみたい。
これで今夜の夕食が浮いた。
味はさっぱりしていて、とても食べやすい。
職場の子たちもやってきて一緒に接待を受けた。
そのあと調べ事があって(サルウィン川の中洲へ渡る舟を探して)、市内を回ったら、いたるところで接待をしていた。
ここは大きな接待所だ。ここ、去年立ち寄ってタマリンドの葉のスープをご馳走になったな。接待所ができる場所は毎年だいたい決まっているのだろう。
調べ事に時間がかかり、戻るころには暗くなっていた。
よく通る道に、灯明が並べられていた。
こんなの初めて見た。あまり夜は出歩かないからなぁ。
小皿に油が満たしてあって、灯心に火がともっている。
人通りの少ない路地にも、デコレーションがいっぱい。
その道の途中、家の庭で接待している家があった。
「入ってきて、食べなよ!」
と誘われたが、すでにヌードルを食べたあとだったので遠慮しておく。
職場のあたりまで戻ってくると、妙に人が多い。
いつも昼食を食べている閑散とした商店街が、かつて見たことがないほどにぎわっている。
どうやら商店街のお店が、それぞれに接待所を開いたようなのだ。夕方にはそんな様子はなかったので、暗くなってから始まり、人々もその時間に集まってくるのだろう。
アイスクリームの接待。
すごい人気で、私が行ったときにはすでに品切れだった。
甘くて冷たいお茶。
レモネード。
のどが渇いていたので、飲み物系の接待はうれしい。
「スイカたべて~」
手がべとべとになったけど、いくつもいただいた。
ボトル入りの乳酸飲料ももらった。
噛みたばこ。
最もヒートアップしてたのは、この洋品店。
お店の不良在庫のサンダルやTシャツなどをばらまくみたいで、パニック寸前くらいの状況になっていた。
私は特に興味はなかったので、スルー。
町のそこかしこに灯明の飾り付けがあった。
私が子供のころ、つまり昭和の高度成長時代に、地元の祭りでメーカーや小売店が試供品などをばらまくことがあった。大したものがもらえるわけではないが、子供ながらにとても楽しかった記憶がある。
きっとミャンマーの子どもたちにとってもニーバンゼィはわくわくした思い出になるのだろう。
(2015年11月27日訪問)