黒雲から逃れるように必死に走る。
雨具も持ってきていないので、こんなところで雨に降られたら、iPad やデジカメもろともびしょぬれだ。
やがて路面は回復し、人里の気配が濃くなってきた。国道の近くまできたのだ。
たぶんチョゥ村という場所。
知っている場所まで来れば急に気が楽になるものだ。
道端に見馴れない構造の祠があったので寄ってみることにした。
茶堂であれば床があるはずなのだが、ここは土間のままなので人が中で休んだりする建物ではなさそう。
コンクリ製のナッ祠に木造の覆屋が付いたもののようだ。
祠の中に祀られてた謎のケモノ。
トラか?
こちらはコブラ。
もう一つの建物には、何の像も置かれていなかった。
中央のオレンジ色の模様はコウモリかな。茶色い帆掛け舟のモチーフも見える。
不気味に枝分かれした鉢植え植物や帆掛け舟の絵はラインカァ峠の祠にもあった。ラインカァ峠はここからそう遠くない場所だから同一の作者なのだろうか。それともこれらはカレン民族に共通する伝統的な画法なのか。
床にも花びらの模様があった。ヒンドゥ教徒が地面に模様を描くが、それと関係あるのか。
これは他の線画よりやや洗練されており、線で囲まれた面に薄い色が塗られている。他の線画とは別人によって描かれたのだろう。
柱にも何かが絡みついたような模様が描かれていた。
ナッ信仰については、もっと色々知りたものだ。
これでノゥトゥディ山脈を巻く小旅行は完了。途中荒れた道が多く、道のりはとても長く感じられ、これまでになく不安を覚えた。
ところがその後この近くまで何度か来るようになり、カレン州のほかの田舎もたくさん訪れたあとでは、ここは大して遠くもなく、不安になるような風景でもなくなってしまったのだった。
結局、初めてこの道を通ったときの心細さは、もう二度と体験できない貴重な記憶なのである。
(2014年11月08日訪問)
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standards (編集)
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