マイクロ水力発電は、文字通り小さな水力発電であり、単に発電機を小川に設置するだけのものだ。ダムなどを造る本格的な発電所に比べると規制も少なく、水の豊かな日本では有望なエネルギーだともされている。だが、実際にはそこいらの川に発電機を設置するには水利権や送電などの問題があるので、見た目ほど単純な話ではない。個人が設置するのはおそらく不可能であろう。こうしたモノを個人が設置するにためは、百年後か千年後か日本列島に人間が極端に少なくなって、行政やムラ社会の価値観が崩壊した空想科学小説のごとき変化が必要だろうと思う。
実は私は以前、徳島県に住んでいたときに限界集落の山家を買おうと思っていたことがあった。その屋敷の地所には自然の湧き水と、川とは言えないような沢水があって棚田を潤していた。棚田の落差と排水量からは発電が可能そうだったので、マイクロ水力発電に興味も持ったこともあった。おそらく、あの立地では発電機の設置が可能だったのではないかといまでも思っている。
富士見町時沢を流れる、どこにでもあるような水路にマイクロ水力発電所が設置されている。
このマイクロ水力発電はモデル事業として設置されたもののようだが、こんなものを置くのでさえ、きっと気が遠くなるような根回しや手続きが必要なのではないか。
そうでなければ、もっと普及しているだろう。
タイプは開放式でいわゆる水車小屋などと同じ形式だが、川の本流部分に直接置かれている。これではすぐにゴミが詰まってしまいメンテナンスが大変ではないかと思う。
水車小屋でも川の本流から取水した別の水路で水輪を回すのが普通なのに、これはとてもがっかりな物件である。
発電した電力は、たったひとつの街灯をともすことに使われていた。
これでは、マイクロ水力発電のよいところを学ぶとこどか、これは将来性のない技術だということを広めるために設置されているように思えてしまう。
(2013年07月07日訪問)
日本の町並み250――重要伝統的建造物群保存地区をすべて収録
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