ニッケン通商

いまも現役の頼りになる絹糸商。

(群馬県前橋市石倉町5丁目)

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もし生糸を手に入れたいと考えた人がいま前橋市を訪れたら途方にくれてしまうことだろう。「生糸の街」とうたわれながら、前橋で生糸を手に入れるのはとても難しくなっているからだ。

そんななか、現在でもバリバリに現役の絹糸商が「ニッケン通商」である。前橋市に残った最後の製糸工場がここに糸を卸していたたそうで、一度話を聞きに行ってみるとよいと言われ、気になっていた会社だ。

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利根川の西岸、前橋市の問屋団地に近い場所にその事務所がある。絹糸の卸という業態上、消費者が直接この会社を訪れることはない。しかし、いま現在、生糸が何も手に入らない前橋市にあって、ニッケン通商は「生糸の街、前橋」を体現する孤高の存在なのである。

2013年の冬に、勇気を出して訪問してみた。

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社長の都木(たかぎ)さんは、日本生糸問屋協会副会長、群馬県生糸問屋教会会長も務めている人で、生糸のことであれば何でも知っている生き字引のような方であった。

現在、前橋方面で作られている生糸の種類に「節糸(ふしいと)」と呼ばれるものがある。もともと前橋の節のある糸は「玉糸」と呼ばれていたはずだが、いつから節糸という言葉が使われるようになり、節糸の定義はどういうものなのかなど、いままで疑問に思っていたことを色々質問させていただきとても勉強になった。

(2013年01月20日訪問)