旧安田銀行担保倉庫

戦後、乾繭取引所の倉庫として、繭と生糸が収蔵された。

(群馬県前橋市住吉町2丁目)

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「旧安田銀行担保倉庫」と呼ばれるレンガ倉庫がある。

このレンガ倉庫が大正2年に落成したときの用途が、銀行の担保倉庫だったためにそう呼ばれている。

前橋にはこんなレンガ倉庫が随所にあったのだが、次々に取り壊され、現在では残っているものは少なくなってしまった。

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戦後、この場所に「乾繭取引所」という施設が作られ、レンガ倉庫は転用される。乾繭取引所は、繭と生糸の現物、および、先物の取引をする市場だった。

このとき、倉庫は繭と生糸を収蔵するために使われた。したがってこの倉庫を見るときは「担保倉庫として作られ、乾繭取引所の繭蔵として使われた」ととらえすべきであろう。

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構造は、資料によれば土蔵の表面にレンガを積んだものだそうだ。

南側の二階の壁面に装飾があるのが見どころのひとつ。

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基礎には床下の換気口と思われる穴がある。

似たような構造のものを、藤岡市東平井の煉瓦倉庫で見かけたことがある。

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建物は現在、古道具屋になっているので、営業時間であれば中を見ることができる。

入口すぐには二階への階段。また写真右に見える壁は外壁ではなく、この裏側にも倉庫が続いている。この壁の奥側は生糸の保管場所、この壁から手前側が乾繭の保管場所だったようだ。

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二階は立ち入り禁止。

ただし、ときどき見学会などがあるかもしれないし、いろいろ手を尽くせば見学できるのかもしれない。

まあ有名な物件なのできっと誰かが紹介しているであろうし、「今どうしても登っておかなければ」という場所ではないと感じた。

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出入口の右手にはリフトがある。

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その奥が古道具屋さん。

古い町並みを町おこしで再生したショッピングモールには時としてアンティーク風の量産品を並べた雑貨屋さんが入っていたりするが、ここは本当の古道具。「こんなの誰が買うん?」というような不思議な道具がいっぱい並んでいるので見るだけでも楽しい。

(2013年01月27日訪問)