群馬県の蚕糸技術センターからほど近い、総社町総社の住宅街の一角に、設計が大ざっぱな感じの巨大なRC造の切妻屋根の建物がある。
この建物は、もと生糸検査所として使われていたものだという。
生糸検査所とは、(財)生糸協会という団体が運営する製糸工場の生糸の格付けを行なう機関だったようだ。
生糸の検査ができるのは、こうした検査所と特別に指定された製糸工場だけだった。検査所は、福島、前橋、横浜、山梨、単語、神戸にあったという。
前橋の生糸検査所についてはネットにもほとんど情報がなく、県や市の施設との横のつながりなどもなかったようで、様子を知っている人に出会ったこともなく、よくわからないことが多い。
現在は前橋市教育委員会文化財保護課の事務所と収蔵施設として使われている。
南側の車寄せはプラットフォームになっていて、トラックをつけて生糸を搬入していたそうだ。
建物の作りや間取りはそのときのままである。
玄関ホールには、少しだけだが縄文土器などの展示コーナーがある。
いずれ見学できる施設にしたいという考えもあるようだ。
裏側からみたところ。
まだ新しい建物なので、しばらくはこのままの姿が見られることだろう。
(2015年03月07日訪問)
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