前橋城主酒井重忠が、城下の用水「風呂川」を引いたとき、その守護として作った神社だという。
神社は利根川の崖線の上にあり、神社の横を流れる風呂川もその崖線の最も標高の高い場所を通っている。
鳥居は両部鳥居の一種だが、柱と添え柱が分厚いコンクリートで固められていた。
補強するにしてもここまで資材を使う必要性がよくわからない。
境内にあったステージ。
観民稲荷の祭日は9月19日で、かつては田舎芝居が上演されることもあったという。これはそのステージなのではないだろうか。
弁天社。
横を流れる風呂川から水を引き入れるようになっている。前橋城のなわばりにある神社では、千代田町1丁目の神明神社にもこうした池がある。神明神社と観民稲荷は私のなかではなんとなく似たイメージの神社なのだ。
社務所。
地域の公民館も兼ねている。
水盤舎。
眷族のキツネ。片耳が欠けている。
足元にまとわりつく仔ギツネが可愛い。
顔の彫りは淡泊だが、ユーモラスで見どころのある石造だ。
拝殿は大きめの箱棟を載せた入母屋造の建築。いかにも関東の田舎の神社という感じがいい。
本殿の写真を撮りわすれた・・・。
奥に見える春日造のものが本殿。手前の赤い流造のものは末社。
本殿の北側には小さな塚がある。これは京都の貴船から勧進した水天宮で、利根川の水難よけだという。
境内の北側には不思議な石積みがある。隣の人家の敷地一部かもしれず、立ち入りにくい空気があるが、これは単なる個人の庭とも思えない。
かつてこのあたりには、前橋城主のための茶屋「観民園」があったという。「観民稲荷」の名も、城主が城を出て民の様子を見た場所という意味だという。
この場所がそうなのではないだろうか。
境内の奥は、風呂川に沿ってすこし歩けるようになっている。ここを通って、次の「静御前の墓」へ向かってみよう。
(2013年01月20日訪問)
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ムック – 2023/7/19
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