中野殿稚蚕共同飼育所

木造モルタル、スレート波板葺きの飼育所。

(群馬県安中市野殿)

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中野殿稚蚕共同飼育所。村内を抜ける主要道に面している。

このページの右上の地図をクリックしてみてほしい。(2010年8月現在)リンク先の地図はまだ「稚蚕飼育所」と表記されている。地図から「稚蚕飼育所」という表記が完全に消えてしまうのも、そう長くはかからないかもしれない。

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東口に配蚕口があるが、すぐ先が道路の石垣になっているのでここからの配蚕はやりにくそう。

以前と地形が変わっているのだろうか。

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南向きの斜面にあり、飼育所にしておくのがもったいないような場所だ。

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西側には宿直室とトイレ。

トイレは内部から入るようになっているという点と、屋根がスレート波板葺きなので、比較的後期のブロック電床育の飼育所ではないかと思われる。

宿直室の床下には床下換気口が見えるが、床下には地下室はないのではないかと思う。

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というのも、北側に屋根が低くなった部屋があり、そこが半地下になっているからだ。

この部分が貯桑室だったのではないだろうか。

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貯桑室への降り口。

完全地下式の貯桑室は天然の冷蔵庫で桑の貯蔵には最適だが、桑の搬入や搬出が不便である。一般の農家で桑を貯える場合でも、地下室に入れる例は少なく、布をかぶせて水をかけておく程度の場合が多い。

稚蚕は食べる桑の量も少ないので完全地下式でなくてもいい、という設計思想の飼育所もあったのかもしれない。

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南側にはサッシュの出入口がある。

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このサッシュは一見すると後補のもののように見えるのだが、近くで見ると「男子更衣室」「女子更衣室」と書かれている。

初期の稚蚕飼育所にはこのような男女別の更衣室という発想はないし、そもそも明確な更衣室というものがない。このような男女別の更衣室も新しい飼育所の特徴といっていいだろう。

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内部は物置に使われていたので、写真を載せるのははばかられるが、ブロック電床育の室の壁は残っていた。

また、室のある空間と、挫桑室・宿直室のある空間の間に戸があって分離されているのが見えた。

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「土足厳禁」「必ず手を洗って入りましょう」など、飼育所当時の看板がいまでも残っている。

この倉庫を使ったことのある方からの情報によれば、挫桑室の下に地下室はあるとのこと。また、トイレは外側からしか入れない構造だそうだ。

(2008年05月02日訪問)

図解建築用語辞典

単行本 – 2013/12/1
建築用語辞典編集委員会 (編集)

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