桑畑の中にあった寺。この寺は高校生のときに自転車を遠乗りして来たことがある。野殿は丘陵の上にあり、いま思えば自転車で気楽に行きたくなる場所ではないのだが、当時はそういう感覚はなかった。もう遠い記憶になってしまったが、付近の桑畑の中の道で江戸時代の古銭を拾ったのを覚えている。
寺の参道は、南の道に面しているが、東側に駐車場があるため、本来の参道から参詣する人は少なそうだ。
東側の寺の入口。
車で参詣する人はここから入ることになる。
大きな八重桜があり、舞い散った花びらが参道をピンク色にしていた。
駐車場に入ると、右手に庫裏状の建物と、朱塗りの鐘堂がある。
本物の庫裏は本堂の横に見えているので、これは旧庫裏なのかも知れない。
以前訪れたときにもこの鐘堂はあったように思う。そして高校生の私は「この寺は除夜の鐘をつくのによさそうだ」と思ったのではないか。境内に立ったとき、ふとそんなデジャビュを感じたのだ。
境内は植木の手入れが行き届いていて清々しい。
本堂は、大棟の極端に短い寄棟造り。
本堂の右側には書院、その右に庫裏。
意匠は質素で、雲肘木と蟇股があるくらい。
向拝柱の左右に壁があって、靴箱が設置してある。ここで靴を脱ぎ、数段の階段を上がって本堂に入るようになっている。向拝部分を玄関室のように使っているのだ。
宗泉寺は禅宗だから、本来であれば堂内に土間があって室内で靴をぬぐのが本来の構造だが、この本堂はもともとそういう造りではなかったようだ。
本堂の左側には、東司、薬師堂、阿伽井屋がある。
薬師堂の中を覗いてみた。
なんとなく、十王堂っぽい建物だった。
(2008年05月02日訪問)
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十代田 朗 (監修)
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