小坂子四区稚蚕共同飼育所。これで、小坂子は一区から四区まで全ての飼育所の遺構を確認することができた。
四区の飼育所は巨大で、小屋組みは木造。一見すると高松稚蚕共同飼育所と同じような飼育所に見える。
だが、よく見ると高松の飼育所よりも屋根の傾斜が緩く、つまりは、小屋組みの部分の容積が少ないことがわかる。
高松の飼育所の切妻の上部にある巨大な明かり取りの窓もこちらにはない。どうやら設計は異なるようだ。
それと、もうひとつ決定的に違うのが写真の入口の配置だ。高松では配蚕口の扉は、大棟の位置を中心に左右対称に配置されているが、この飼育所では配蚕口と思われる扉が右側に寄っている。
左側にある小さな窓はおそらく宿直室だ。つまり、小坂子四区の飼育所は、北側に配蚕口と宿直室があることになる。いままでに見た直線型の飼育所では、配蚕口と宿直室は両端にあったので、決定的に異なる配置になっている。
宿直室の部分。トイレがあるが、窓が外側にあることからわかるように、このトイレは室内から入るようになっている。
これまでに見てきた飼育所では、トイレは屋外にあり、飼育所内から直接トイレに入ることのできる飼育所はなかった。衛生管理上、トイレを室内に設置しなかったのかと思うが、この点からもこの飼育所は特異なケースだと言える。
南側には物置が造設されていて、従来の構造ははっきり確認できなかったが、高窓が南側まで続いていることから、ムロは南側に集まっており、貯桑場は北側の配蚕口付近にあったのではないかと想像される。
現在は漬物工場になっているので、内部は原形をとどめていないであろうが、配蚕口から飼育室への動線がどうなっていたのかとても気になる飼育所である。
(2007年02月12日訪問)
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