正蔵寺

国道に面し常夜灯。一間一戸楼門、塗籠造り輪蔵がある。

(愛知県美浜町野間本郷)

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岩屋寺のあった南知多町山海から、次の目的地美浜町野間大堂までのあいだには、立ち寄ってもいいかと思える寺もいくつかあったのだが、日が傾き始めていたので途中をはしょって野間まで来た。

野間に到着して、午後4時。とりあえず一安心したので。目に付いた寺に寄ってみた。正蔵寺である。国道247号線に面したところにある。

山門は薬医門。街道に面して秋葉常夜灯が立っている。

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山門を入ると、右側に鎮守社(白い壁の小祠)、地蔵堂がある。

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地蔵堂を過ぎると、参道(モルタルの歩道)が90度左に折れて、一間一戸の楼門がある。

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楼門の左手には塗籠造りの輪蔵があった。唐戸に鍵がかかっていて中の様子はわからない。

大黒さんが境内を掃除していたので、「これ、輪蔵ですか。珍しいですね!中はどうなっているんですか?」などと、さりげなく中を見せて欲しいという意志を投げ掛けたのだが、あっさりと無視された。どうもさっさと掃除を終わらせてしまいたかったようだ‥‥。

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本堂。本堂の右側には玄関、納経所、庫裏、東司がある。

納経所があるのは、知多八十八ヶ所の札所になっているためだ。

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本堂の左側には書院のような感じの建物。

不自然な位置に鳥居があり、途中から分かれた参道が奥へと誘っているので進んでみる。

後ろ姿は大黒さん。お掃除ごくろうさまです。

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鳥居のついた参道は、本堂の裏の方へ続いている。

あまり普通の参拝客が立ち入らないような、隙間のような空間に「奥の院→」の文字が。

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かなり狭いところへ続いている。

このように壁と堂の間を誘導する空間は、かつて静岡県の智満寺、兵庫県高砂神社などで、同じようなものを見たことがある。いずれも境内の左奥隅にあるというのが特徴だ。このように本堂の裏側に何かあるという場合、本堂の左側から回り込むというケースが多いように思う。もちろん本堂の右側には一般的に庫裏が配置されるので、通路はおのずと左側となりやすいのだが、もう一つの理由として仏教の右回りの参詣方法も巡回する空間の構成に影響しているのかも知れない。

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突き当たりには稲荷社があった。“秘密の奥の院"といったところであろうか。

面白い空間のあった寺だったが、輪蔵の中を見せてもらえたら、もっと印象は良くなっていたであろう。

(2001年11月25日訪問)

ふるさとの食 (アクロス福岡文化誌 2)

ペーパーバック – 2008/2/1
アクロス福岡文化誌編纂委員会 (編集)

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