椿川の白魚漁

川を登る白魚を四つ手網で捕る漁。

(徳島県阿南市椿町)

阿南市の南に細い半島がある。

徳島県南部の幾重にも連なる断層が海に沈み込む場所にはいくつかの長く突き出した半島があるが、この蒲生田岬(かもだみさき)はそのひとつ。カニのハサミのようなその形状の上側の半島には椿泊(つばきどまり)という漁村があり、下側の蒲生田は農村だ。

蒲生田岬は徳島の最東端。半島の対岸は和歌山県の日ノ御碕。徳島県と和歌山県が両側から手を伸ばしたような地形になっていて、この突端からアサギマダラという蝶が海を渡るために飛び立つ様子が見られる。

沖には徳島県に2つしかない有人の離島、伊島。いずれこの島については紹介することになるだろう。

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この半島はすっごくおすすめの観光地というわけではないけれど、特に椿泊は独特の景観が見られるので、ふらっと出かけたときなどによく目的地に選んだ場所だ。

きょうはハサミの付け根、椿町へ行ってみた。

お目当てはこの季節に行われるという四つ手網漁だ。

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湾のいちばん奥まったところに椿川という川がある。この川の汽水域で白魚(しらうお)を捕るというのだ。

だが潮の状態がよくなかったのか、誰も漁をしていない。

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ただし四つ手網はたくさん並んでいて、潮目がよければかなり見ごたえのある漁の風景が見られるのではなかろうか。

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四つ手網は防潮堤の外側に設置されているので、単管や脚立で足場を作って、そこでの漁となる。

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防潮堤の内側にもハシゴが設置されている。

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足場に小石が載っているのは、漁のとき石を投げ込んで魚を網の方向へ追いやるためなのだとか。

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ひしゃくは白魚を網からすくうのに使う。

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私が以前に住んでいた横浜市も海岸線を持っていたが、ほとんど海に関わることはなかった。

だが徳島に移住してからは、海水浴やダイビングに行くようにもなり、多少は海に関わるようになった。

それでも漁業にはちょっと苦手意識みたいなのがあって、あまり積極的に見に行くことはしていない。この日も満潮まで待てば見られたかもしれないけれど、あっさりと引上げることに・・・。

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ところで、四つ手網漁といえば、岡山の九蟠という場所に小屋を借りて漁をできる場所があって、一度は行きたいと思っていたのだけれど、一緒に行ってくれる相手が見つからず、いまだに願いはかなっていない。

いつか行ってみたいなぁ。

(2008年03月29日訪問)