私にとっての四国最強の癒やしスポットである、仏生山温泉。もう何度行ったかわからない。回数券の台帳の表紙が溜まるほど行った日帰り温泉だ。
徳島方面から仏生山に行く場合、国道193号線が早いが、そこをあえて裏道の県道280号線を走る。
すると道端に辻時計を発見! 旧道を走れば、かならずこんなご褒美があるものなのだ。
辻時計は船山神社という神社の境内で、T字路の突き当たりにある。
この路地は仏生山から県道へ続く細道だが、現在の県道と同程度に古い可能性がある。
と、いうのも県道の以前の道筋は、南から来ると船山神社の参道で境内に突き当たって、境内を巻くようにカーブしていたと思われるからだ。そのカーブの途中にこの路地があり、以前はT字路というよりも仏生山への道が分岐するY字路的な場所だったと思われる。
聞き込みによれば戦前からあるということなので、ご大典記念ではないかと推測される。
当サイトでは戦前の辻時計を次の3パターンに分類している。
- 丸首型:時計の丸い形状をなぞるように円形のコンクリの首をもつもの。
- 行灯型:神社の境内に並ぶ
雪洞 (辻行灯 )のような形状。柱の上に載る形で屋根があるタイプ。 - 石碑型:平板的な石碑や墓石のような外観で、時計を埋め込む円窓がついているもの。
この物件は(1)である。
土台部分には時計店の宣伝がついている。内部にある時計を寄付した時計店なのだろうか。時間は正しい時刻を指しているので、きちんと保守されているのだろう。
丸首の下には「時を大切に」という扁額がある。
もしかして、以前はここに別の文言があった???
裏側から見たところ。神社の周囲の土塁の上に建てられていることがわかる。
定礎のようなものは見当たらなかった。
電線が通っているので電力で駆動されているようだ。
全体的にはアールデコ調で、首をささえる部分に古典様式の柱頭のようなロール意匠がある。
丸首型の辻時計としては、徳島の国実の辻時計があるが、そちらも古典様式なので、丸首型というのは古典様式から生まれたものなのかもしれない。
せっかくなので神社も見ていこう。
神社の参道は南に延びていて、想像だが県道が直線化される以前は、この道が街道で、神社に突き当ったあと右側に境内を迂回して辻時計の前を通っていたと思われる。
道路の東側には川があり、この川筋がおそらく昔の街道で、いまでも地図を見ると県道164号線の南までおぼろげにたどることができる。
参道には地蔵堂がある。
その地蔵堂のひとつは北を向いていて、神社と対面するように建っている。
不思議な建て方だ。
参道の途中にある鳥居を過ぎると、道路の真ん中に狛犬がある。
その先には八脚門を建てる工事をしていた。
狛犬。
阿形だが鼻先が欠落してしまっている。
吽形。
境内は巨木が多い。
拝殿の前には、橘と桜の樹が植えられていた。これは比較的最近のものではないかと思う。
本殿は高い石垣の上に建てられているが、石の間を経て拝殿からは直接アクセスできるようだ。
クスノキの巨樹。
県の天然記念物に指定されているかなり立派なもの。
境内にはほかに宝庫のようなものがあった。
(2007年12月01日訪問)