秋保大滝から仙台市街地方面へ戻る途中の馬場集落。
道路に向かって切妻を見せる民家が連なる風景は、東北の山深い街道筋にありがちな町並みだ。馬場集落を通過しながらこの県道は古い街道をそのまま拡幅した道なのだと気付いた。
そう思った矢先、県道は近代的な鉄橋で深い谷を越えていた。
昔の街道にしては橋が大きすぎる。
旧道はもっと谷の底を通っていたはず、と思って、橋の上を通過しながら谷底を見ると…
なんと、谷の底にアーチ橋が見えるではないか。橋を渡りきったところですぐ車を停め、歩いて戻る。それにしても運転しながらよくこんな谷底をのぞいたものだ。こういう偶然の出会いには自分でもときどき不思議になることがある。
橋は石積みのアーチ橋で、かなり立派なものだった。案内板によれば、昭和14年の竣工で、橋長 20.8 m、幅員 4.5 mで、市指定文化財とのこと。見た感じから言えば県指定文化財が妥当なブツだと思われるが、やはり昭和 14 年では新しすぎるか‥‥。
石は秋保石と呼ばれる地場産の凝灰岩らしい。
昭和 14 年といえばもう鉄筋コンクリートで作れた時代だが、石積みという工法を用いたのはどんな理由があったのだろう。
建設時には近くの馬場小学校の校庭に実物大の設計図を描いたとか、完成までに3頭の馬が倒れたという伝説があるそうだ。
ついでに、近くに馬場館跡という館跡があるという看板があったのでぶらぶらしてみたが発見できなかった。
(2001年09月24日訪問)
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