船岡平和観音・再訪

観音の胎内は恐ろしく狭い。ケーブルカー駅の廃虚発見。

(宮城県柴田町船岡館山)

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仙台を目指して東北道を北上する。休み休みの運転だったため宮城県に入るあたりですでに時刻は4時になっていた。仙台市内を観光するには中途半端な時間だし、宿を探すにはまだ少し早い。

そこで前回訪れて胎内に入れないで敗退した船岡平和観音を再訪することにした。

今回は山麓の売店に立ち寄り、スロープカーが動いていることを確認。往復500円の料金を払って山頂へ。前回の汗だくの苦労を考えれば安いものだ。さらにスロープカーの料金には、観音の胎内入場料100円が含まれている。

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前回の時は無情にも閉まっていた扉が今回は開いていた。

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基壇に入ると簡単な祭壇があり、飾り気のない螺旋階段が二階へと続いている。

思えば、仏像などというものは眺めて手を合わせればそれでいいはずなのに、体の中へ入らなければ気が済まないという信仰の形態は面白いものだ。どうも仏教に顕著に見られるように思える。

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胎内はひたすら螺旋階段が続く。

途中にはこのような床があるのだが、胎内仏などがあるわけでもなく、息が詰まるようなコンクリートの筒の中をえんえんと上りつめて行くのだ。

観音はコンクリート壁構造。つまり柱や梁はなく、壁全体が構造材になっている。そもそも観音の胴の太さも直径4mくらいしかないのだから当然といえば当然なのだが。

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最も狭いあたり。

直径1mくらいの螺旋階段がかろうじて通過できる程の太さしかない。なんという閉塞感!

ある意味では正しい胎内巡りと言えるのかもしれない‥‥。

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最上階にはひときわ大きな明かり取りの窓があって柴田町を眺めることができる。観音のボディーの肉厚がよくわかる。

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明かり取りのまどは胸のあたりに開いている。最上階は観音の頚の下あたりにあるのだ。

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最上階から首のほうをみたところ。

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帰りもスロープカー。わかりやすく言えば2両編成のモノレールである。ケーブルカーのように対になった車両があるわけではない。車両はつねに山麓駅に待機していて、山頂駅でボタンを押すと迎えにくるのだ。

もちろんこの日は客は私ひとりなのだから、一人の客のために二往復したことになる。こんなことで採算がとれるのであろうか‥‥。

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実はこのスロープカーのレールの下には古いケーブルカーの廃線跡がある。

これは山頂駅のホームの跡だ。

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スロープカーの中間点あたりにある山麓駅の廃虚。(スロープカーは昔のケーブルカーの2倍くらいの距離を走っている。)

いろいろな廃線跡のなかで、ケーブルカーの駅の廃虚ほど風情のあるものもない‥‥。駅跡は草も刈られ保存状態は良好。しばらくは残っていくことだろう。

(2001年09月22日訪問)

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