旧東北砕石工場

宮沢賢治が最後の命の火を燃やし尽くした工場。

(岩手県一関市東山町松川滝ノ沢)

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東山町は石灰岩の山地で石灰やセメントの工場などがある。旧東北砕石工場はJR陸中松川駅のすぐ北にある石灰工場で、大正末期に開業し酸性土壌を中和する土壌改良剤を製造していたという。

宮沢賢治が最後に勤めた職場であり、彼は土壌改良剤の営業に奔走した。だがその無理がたたって病床に伏し、わずか37歳の若さで帰らぬ人となった。その最期は『グスコーブドリの伝記』を彷彿とさせる。

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今は操業しておらず、町が管理して近代化遺産として保存している。

建物はそう古いものではなく、保存状態も悪くない。

見学コースがあるようだが、この日は休館日だったため中に入ることは出来なかった。残念。

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駅に近い側の棟は常に開放されていて、内部を見学できる。巨大なホッパー(左写真)や、複雑なベルトコンベアなどは、普段見慣れないものだけにその迫力と仕掛けの不思議さに純粋な感動を覚えずにはいられない。

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この棟は製品の最終的な梱包と、貨物列車への積み込みのための施設だったのだろう。

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工場の裏手の崖には、かつての東北砕石の従業員の集合写真を立体化した人形が置かれていた。かなりリアルなもので気味が悪いほど。

(2001年08月13日訪問)