光巌寺

総社藩主菩提寺の大寺。楼門は異様。

(群馬県前橋市総社町総社)

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光巌寺は総社藩主秋元氏の菩提寺で、前橋市では5本指に入る巨刹である。総社の町の中心を南北に通る道は佐渡奉行街道と呼ばれる街道で、その道に沿ってかつて総社宿があった。その宿場町に面して棟門があり、長い参道が寺まで続いている。

もっとも私たちは天狗岩用水の方から歩いてきたので、実際には寺の裏側からアプローチし、棟門は遠くから写真を撮っただけ。

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200mほどの参道を進むと楼門があり、巨大な本堂が見えてくる。

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この楼門はなんとも異様だ。間口3間、奥行き1間、通し柱で2階に欄干がなく、全体としてはマッチ箱を立てたような形状をしている。通路の部分にはカーブを描いた黒い線の意匠があるため、この門を竜宮門と呼ぶ人もいる。(私は認めない。)

利根川西岸の榛名山のすそ野にありがちな、毒っぽい江戸建築だ。

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楼門の先には秋元氏の霊廟。

秋元氏は関ヶ原の合戦の直後、総社一万石に封ぜられた。それまでJR新前橋駅の北方にあった城を、今の総社の位置に移して現在の総社町の中心街となる城下町を築いた。それまで城があった地域は現在「元総社」と呼ばれている。

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秋元氏は3年間年貢を免除し領民に天狗岩用水の掘削にあたらせた。その用水は今でも利根川西岸の広い地域で潅漑用水として使われている。秋元氏が転封になるまでの統治はわずか30年ほどであったが、後の農民はこの秋元氏の治政に感謝し「力田(りょくでん)遺愛碑」という碑を立てた。

封建時代に農民が君主を讚えて建碑したのは珍しいものなのだそうだ。

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境内の北端には薬師堂(写真手前)、元三大師堂(写真奥)。

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本堂。巨大な建物だが、いわゆる本堂形式の堂ではなく、方丈のような建築である。

写真の奥にみ見える唐破風の玄関が入口になっている。

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本堂の左側には庫裏。

入母屋の建物。

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庫裏も巨大な建物だ。

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庫裏の前には袴腰鐘楼。

二層のところの組み物の付け方が、天竺様になっている。

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光巌寺は門の多い寺だ。

左写真は薬医門。市指定重要文化財で、江戸初期の建物と推定されている。

本柱と控柱の間が離れていて、元々は総社城の門だったのを移築したのではないかという説もある。(柱間がひらいているのは、城郭の厚い築地塀にあわせて作られたからではないかということだ。)

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長屋門。中は集古館になっている。

境内には他に、蔵、井戸堂があった。

(2002年05月05日訪問)

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