続いて、上下町の町内を散策する。
山陰と山陽を結ぶ石州街道の宿場町として成立した町並みは、いまでは親子UFO水銀灯が続く、なつかしい昭和の商店街だ。
ナマコ壁や卯建がみられる蔵造の商家が何軒かある。
多くは平入りの2階建で、2階も居住空間として造られている。2階の階高も高く、こうした建物は江戸にはさかのぼらないだろう。
写真奥に見える白亜の蔵造は、旧岡田家で田山花袋の私小説『蒲団』のヒロイン岡田美知代の生家とのこと。
妻入りの商家もある。蔵造の形式はまちまちだ。
町並みを半分くらい来たところ。Lの字に折れ曲がる角にあったパン屋、片野製パン所。
アールデコ書体の「KATANO 」がいい味を出している。
今は営業しているかどうかは不明。
駅のほうから来て、Lの字を折れ曲がった先の風景。
この道筋には何件か旅館があり、かつての宿場町の風情を感じさせる。この町が宿場として繁栄したのは戦前までくらいではないかと思う。
突き当りには、このあと訪れる翁座という劇場が見えている。
商家の軒先に見つけた戦前の表札。
「商業報國店・縣島廣」「遺族の家」などの文字が見える。
旧田辺家。裏を流れる上下川から見たところ。
江戸時代から続く問屋で、造り酒屋も営んでいたという。
(2001年05月04日訪問)