浄土寺

本堂は国宝で、福山の明王院とうり二つの建築。

(広島県尾道市東久保町)

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寺町めぐり19ヶ所目の訪問地、浄土寺。寺町の東端である。この寺から東は山が海にせり出して尾道の市街地は終わりになる。

多くの文化財を有する名刹で、一般の観光客が尾道の寺を巡るなら、西国寺、浄土寺、そして千光寺(千光寺山頂の寺)の3カ所を巡れば充分かもしれない。

山門の四脚門は室町初期の建築で国重文。

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山門を入ったところにある本堂は国宝。建立は鎌倉末期で、前日に見た明王院本堂とほぼ同時期。形や意匠もそっくりで、うり二つの建物だ。同じ大工の仕事か。違いといえば縁に擬宝珠高欄を巡らしているところだが、これは後補のものかもしれない。

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本堂と庫裏の間に中門があり、(しころ)屋根の書院(?)と思われる建物が見える。この奥に国重文の茶室「露滴庵」があるという。

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本堂の左手には庫裏、宝物館。

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阿弥陀堂。室町初期の建築で国重文。意匠は和様で、質素ながら優美さを感じさせる建築だ。

観光客だけでなく、地元の人がハトに餌をやったりしていて、にぎわいのある境内である。

境内の様子

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多宝塔。鎌倉末期の建築で国宝。

多宝塔としては大きな建築で、2階がかなり細く軒の出が大きいのが特徴だろう。美しい塔だ。

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境内にはほかに、子安堂、経蔵、鎮守社、護摩堂。

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経蔵の内部は輪蔵だが、物置になっていた。

たしかに独立した堂である経蔵では、防虫にしても防湿対策にしても現在の基準では不十分で、教典はもっとちゃんとした書庫に保管というのはわからないではない。しかし、これほどの大きな寺ならゴザをしまう場所など他にいくらでもあるだろうと思うのだが。

(2001年05月03日訪問)