デンデラ野

かつて老人を捨てたともいう伝説のある村外れの土地。

(岩手県遠野市土淵町山口)

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遠野市東部の集落である土淵は、遠野物語の語り手佐々木喜善(きぜん)の生家のある地域で、遠野から釜石へ抜ける古道の遠野側最後の集落でもある。

その佐々木喜善生家の南側の丘陵をデンデラ野と言う。

付近は写真のような場所である。

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今、このデンデラ野に行くと、畑の中に木の(くい)が一本立っているだけである。木の杭一本だけという、禅の悟りの境地にも匹敵する究極の観光スポットなのである。

遠野物語にはデンデラ野について3つのエピソードが載っている。

  • かつてここに十王堂があり火事で焼けたが、その時十王像は木の枝に逃げ出した。しかし火の勢いが強かったため像は少し焼け焦げている。
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  • 村に死人が出るときはデンデラ野に前兆があるという。死ぬのが男なら夜中にデンデラ野で馬を引く音がする。女なら歌声や話し声、臼を搗く音がするという。
  • デンデラ野は昔60歳になった老人を捨てた場所だという。昔は村ごとにデンデラ野と呼ばれる場所があったという。

そう言われてこの杭を見ていると、なんだか神妙な気持ちになってくる。

(2000年10月07日訪問)