新羅神社

境内は義経の隠所だったという伝説がある。

(青森県八戸市長者1丁目)

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八戸市南部の小高い山の上に建つ神社。新羅(しんら)神社の名称は、開祖の南部藩主の先祖とされる新羅三郎義光を祀るからだという。創建当初は虚空蔵堂という寺であったが、明治の廃仏毀釈で神社になったもののようだ。

山頂には桜がたくさん植えられていて、花見の季節にはにぎわうらしい。

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周囲は住宅地だが、この神社のある長者山の一帯だけはうっそうとした杉林になっている。(左写真)

この杉林にはこんな伝説がある。義経の家臣板橋長治が、義経が落ちのびて隠れられるように山に木を植え、柴を回してみだりに人が入らないようにして居所を作ったのだというのだ。その「長治山」が転じて「長者山」という名前になったのだという。

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こういう伝説は誰が最初に作るのか知らないが、“木を植え柴を回して"人目を忍ぶなんていうさもありそうなフレーズを最初に織り込んだ話者にはつくづく感心してしまう。

民話や伝説の物語の場面にはあるていど普遍的な要素があって、その要素の組み合わせで語の骨格を生成することができる。だがその骨格に印象に残るフレーズが肉付けされなければ、語るに足る物語にはならないのだ。

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左上写真は拝殿。左は本殿。

他に、境内には護符売り場、水盤舎、神楽殿、招魂社、末社など。

(2000年10月05日訪問)