だいぶ寄り道をしたが、いよいよ迫間(はさま)不動へと向かう。細い山道を登ると、広い駐車場があり、その周囲にはまた数軒の茶店が並んでいる。さて、ここから行政区分から言えば関市に入った。関、と言えば刃物の町である。茶店にも包丁から鍬(くわ)までいろいろな刃物が売られている。でも、こんなところで鍬を買う人っているんだろうか。

迫間不動の伽藍はまだ見えない。

伽藍配置図だ。

なんだか、けっこう歩きそうなのが気になる‥‥。などと、早くも軟弱なことを考えている私。

この迫間不動、８世紀ごろ創建の古社(?)で、この地方では霊験があるようだ。縁組成就、商売繁盛の神として、参詣者も多いという。それにしても、「－不動」で神社というのだからずいぶん大胆だ。神社らしきものは、茶店の付近に立っている鳥居のみである。

１０分ほど石段を登ると、本堂に着く。

見ればここまでは車でも登れるようだ。年配の参詣者たちはみな、ここまで車で来ていた。

本堂から奥の院へと向かう道の左右には、小さな霊場が迷路のように続いている。

これって、単なる不動信仰というより、いわゆるこの辺りでは死んだ人が迫間山へ行くっていうような祖霊信仰の形態なのじゃないのかしらん。

勝手な想像だが、そんなふうに思わせるほどの壮絶な空間なのだ。

無数の祠の間を通って、登っていくと朱の鳥居があり、奥の院への入口となる。

このあたりまで来ると、周囲の雰囲気も並みの神々しさではない。

奥の院の手前にも滝があり、その奥の岩場に投げ込まれたようなコンクリートの建物がある。

奥の院の建物はなんだか、サンダーバード２号の格納庫みたいだ、などと言ったら歳がバレるか？

奥の院の建物の下に行ってみると、さらに洞窟の奥へと登る石段が続いている。

今日はツいてる。洞窟系の信仰装置が１日でいくつも見られるなんて！

曲がりくねった急な石段を私は登っていった。

洞窟の奥にあったのは、数えきれないほどのロウソクと御神体の鏡。

鏡か‥‥、やっと神社らしいものを見た。

それにしてもこの本数はどうだ。

あまりにも多くのロウソクが奉納されているため、酸欠状態にならないように巨大な送風機が３機、轟音を立てて排気を行なっている。

この寺、観光ガイドの扱いが小さいが、なぜなのだろう？　信仰が濃すぎて、物見遊山の観光客には向かないと思っているのだろうか‥‥。

私としては、かなりお勧めのスポットである。

行場。行場は境内に2箇所ある。

脱衣所もある本格的な行場だ。