このころ私は徳島に住んでいて、東京には出張でよく訪れていた。これは東京出張の際の定宿の近くにあった神社。
特に目的があってここを探して訪れたわけではない。あるとき仕事が早めに終わり、少し時間があったので宿の近所を散歩していてたまたま立ち寄った神社だった。
名前は出世稲荷。由緒については文化財の看板があったが、この神社のことを記述しているのかどうかが曖昧で、単にこの町内の説明の可能性もある。
この神社、最近アニメ『舟を編む』に登場した。出版社に勤め、辞書を編纂する青年を主人公とした作品だ。
自分もこのころ辞書の仕事をしていたので感慨深いものがある。
紹介したいのはこの境内にあった滑り台。
洪積台地の崖線の斜面を利用した、人研ぎの二連台だ。
滑降面は荒れていて残念ながら滑ることはできなかったが、出来た当時は楽しい滑り台だったに違いない。
境内には他にパーゴラ、ブランコ、箱ブランコがあった。
箱ブランコは使える状態だった。
全体が丸くて床下が高いので重大事故が起きにくいため、本来の形のまま残されたのだろう。貴重だ。
ブランコは足下にマットがあり、穴が掘れないようになっていた。
社殿は拝殿と本殿が一体化した建物。
この出張時、本郷と思われる地域で見かけた薄い建物。たぶん幅が1間しかない。
場所が思い出せなかったので、ページを作らずこの神社と一緒に紹介するにとどめておく。
この幅に3階建ての建築を建てるという執念がすごい。でもあんまりじっくり見ていると、悪い夢に出てきそう。
(2004年01月28日訪問)
復興建築 モダン東京をたどる建物と暮らし (味なたてもの探訪)
単行本(ソフトカバー) – 2020/12/2
栢木まどか (監修)
関東大震災後、現代の東京の骨格をつくった「帝都復興計画」と、未曾有の災害から人々が奮起し、建てられた「復興建築」を通して、近代東京の成り立ち、人々の暮らしをたどります。
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