5月5日こどもの日。昼過ぎから友人と出かけることにした。友人の希望で三浦半島にある油壷マリンパークという水族館へと向かう。三浦半島を縦断する有料道路“横横道路"のインターチェンジを下りて海岸線へと出る。ふと、このあたりに五重塔があったことを思い出し、立ち寄ることにした。
地図を見ると、そこには聖徳久里浜霊園という霊園があり、大仏寺なる標記がされているではないか。
事務所らしき建物に九輪が付いている。
でも近くでみるとあまり仏教建築っぽくはない。
この五重塔に初めて気付いたのはもう7年くらい前。その頃私は東京の会社に勤めていて、仕事の関係でNTT横須賀電気通信研究所という山奥の施設へ行ったことがあった。その研究所へ向かうバスの車窓から、五重塔を見つけた。それ以来、一度行かなければと心に引っかかっていたのだ。
行ってみると、五重塔は霊園の山頂に立っていた。頂上までは車で上がることができる。
五重塔はコンクリート造で、とても小さい。全高20mくらいか。1階の裳階の屋根など手が届いてしまう高さだ。
ただし法隆寺の五重塔を参考にしているため、全体的なシルエットは悪くない。
ほかに頂上付近は、水子地蔵、、、
巨大達磨石像、、、
羅漢像、などなどが配置され、一大仏教公園と化している。
五重塔へ登る山道の途中には、三浦大仏と称する大仏がある。横浜市神奈川区にある聖徳寺がこの霊園内に建てたものだという。
材質は御影石で大仏の全高は13.5m。台座部分は鉄筋コンクリート造の納骨堂で7.5m。全体としては20mを超える大きさである。大仏としてはとりあえずOKな大きさだ。
残念ながら大仏の中には入ることはできない。
大仏の基壇には扉があるから内部は納骨堂か何かになっているのだろう。
大仏の意匠はあまり日本的ではない。(境内の至る所にある石像もそうだ。)中国か台湾かどこか物価の安い国で作って、解体して日本に運んできて組み立てたのではないかという雰囲気だ。
背中の光背は鉄造で日本ばなれしている。これで光背に電球でも付いていて光れば最高なのだが・・・。
山頂の仏教公園の奥には、トーテムポールのある不可思議な空間がある。
祭壇の中心は寝釈迦になっている。
ここは「四童女供養仏」といい、埼玉県入間市で起きた連続幼女殺害事件の供養のための空間だという。
寝釈迦の上には立て札があり、幼女たちがどのように陵辱されたかが想像で書かれている。むちゃくちゃえぐい文章なので、読むと明るい公園に鉛のような空気が立ちこめてくる。
手前にある手は四童女の成仏の具合を表しているのだろうか?
関東で気軽に出かけることのできる仏教パークとしてはなかなかおもしろい場所であった。
境内からの眺めも良いので、ぜひ天気の良い日に出かけたい場所である。
(2000年05月05日訪問)
東国里山の石神・石仏系譜
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田中 英雄 (著)
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ブログ『扁平足』の作者が執筆した東日本の石仏の本です。写真は少なめですが、撮影場所はすべてわかるように書かれています。