
揖斐川をさかのぼると道路地図は山間地で縮尺が小さくなり、細かい情報が得られなくなる。その地図でかろうじて記載されている山寺があったのでそこまで行ってみることにした。
渓谷を抜けて小さな集落に入ると、目的地の洞泉寺は山の上にすぐに見つかった。本堂、庫裏、鐘楼の小さな寺だった。

寺のすぐ左隣には、吹き放しの辻堂があった。茶堂といったほうがいいかもしれない。
茶堂の脇には沢水を引いた水船があったので、寺を見ているあいだ、生ぬるくなったペットボトルのジュースを冷やさせてもらった。

茶堂の左横には草屋根の民家がある。
向井潤吉という油絵の画家がいて、私はその人の描く民家が好きなのだが、この民家の屋根の古びた色の感じは、まるで向井潤吉の絵から抜け出してきたようで、しばし見とれてしまった。
(2000年03月20日訪問)