
竹鼻町の本願寺周辺の町並み。
左側の民家の2階部分に台形を逆さまにしたような白い壁があるのがわかるだろうか。(一方通行の標識のすぐ左上の部分。)
この部分の呼び名は一定しないが、木材でできている場合は「
袖壁では意味が広すぎて形状が伝わりにくいし、かといって土蔵造の卯建との区別も必要なので、私は勝手に「

「卯建」というのは、よく「うだつが上がらない」などというときに使う、あの「うだつ」のことだ。建物に卯建を取り付けることを「うだつをあげる」と言う。

街道筋の立派な商家にはたいてい卯建が上がっているものだ。立派な本式の卯建を見かけたら、またその時に卯建については触れようと思う。とにかく、「うだつがあがらない」というのは、建物のこの部分から来た言葉なのだ。

ここらで見られる袖卯建は、言ってみれば本式の卯建が単なる飾りとして形骸化したものと考えられよう。町並みの2階部分に斜めのラインが生じるのが特徴的で、古い街道筋の町並みによく見られる。
特に中部地方の中仙道に沿った地域ではこの意匠が濃密に分布している。
(2000年03月19日訪問)