先に説明したように、一宮市は真清田神社の門前町として発展した街である。門前市は3と8の付く日にひらかれ「三八市」と呼ばれた。江戸時代から木綿や衣料品が中心の市であった。
真清田神社に行ってみて驚いたのは、その歴史のとおりの門前町(仲見世)が現在でも中世の雰囲気をそのままに残っているという事である。
写真は楼門の前の広場。鳥居の先にはアーケード街。鳥居の手前には服飾品を扱う仲見世が並んでいるのが見える。
婦人服を扱う仲見世。この建物の裏手にも服地や糸などを扱う店がある。
それだけではない。神社の境内を取り囲むように毛糸などを扱う小さな商店が続いている。
なんだか、以前ミャンマーに行ったときに見かけた寺院を取り巻く仏具屋や土産物屋の雰囲気そっくりだ。
奥には楼門が見える。
仲見世を裏側からみると写真のように一続きになっていることがわかる。一宮市は空襲で焼けたので、再建するときに共同で耐火建築にしたのだろう。
楼門の左手の店はみな閉じている。この仲見世の光景は消え行く寸前であり、門前市が好きな人は是非とも早いうちに訪れることをお勧めする。本サイトで紹介している門前町では、最もマニアックかつハイレベルであり必見のスポットと断言できる。
だが、市としてはこのあたりの商店街を観光要素とは考えていないようだ。市の歴史資料館に立ち寄ったが、ひとこと“真清田神社の付近に三八市の名残をとどめる"と書かれていただけで、この仲見世の存在自体無視している。
(2000年03月18日訪問)
古建築の細部意匠
単行本 – 1972/6/10
近藤 豊 (著)
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