午前中、静岡で時間を使ってしまったので、名古屋に着いたのは昼過ぎになってしまった。わざわざ21日に出かけたのはひとえにこの寺の縁日(というか、後のページで説明するこの寺の周辺で行われている講)を見るためでもあったのだ。

日泰寺(にったいじ)は名古屋市の千種区、覚王山とよばれるエリアにある。タイから寄贈された釈迦の遺骨を納めるため、明治37年に建てられたかなり歴史の新しい寺である。「覚王」とはすなわち釈迦のことであり「日泰」は日本とタイを表わしている。
新しい寺ではあるが門前町がよく発達していて地下鉄覚王山駅から数百mの門前町が続く。

私は縁日の日に来たことがなかったので、正直言ってあまりの盛況ぶりにびっくりした。普段の日は参道を車で通って境内に適当に駐車して参詣していた。まあ、普段は参詣客も1~2人程度しかいない殺風景な寺なのだ。それが、今日来てみたら車はおろか自由に歩くことさえままならないほどの混雑ぶりなのだ。
参道だけでなく境内にも無数の露天が出て、手芸用品、園芸用品、農産物、乾物などさまざまな日用品が売られている。これが“市"というものなんだと身をもって実感できる。

境内は三間一戸二重門、五重塔、本堂、水盤舎、普門閣、寺務所、鐘楼、常設茶屋などで、ほとんどが鉄筋コンクリート造である。
仏舎利が納められた仏舎利塔(奉安塔)は、境内とは離れた北東の丘の上にある。伊東忠太が設計したものということだが、遠巻きにしか拝観できない。
(1999年11月23日訪問)