「ようせんじ」と読む。お寺の名前では「永」を「よう」と読むことはめずらしくない。
ところで、私が地方の寺を見に行くときに参考にするのが「全国寺院名鑑」という本だ。30年くらい昔に出版されたものだが、全国津々浦々の目ぼしい寺をほとんど網羅しており、しかも白黒ではあるが写真も載っている。地方の寺院に関してこの本に勝る資料はないであろう。

なんでこんな話をしたかというと、この「永泉寺」、寺院名鑑に載せている山門の写真がなんとも渋~く写っているのだ。まるで、うっそうとした山中にある禅寺で七堂伽藍を回廊がめぐってでもいそうな、そんな雰囲気に。
‥‥となれば、私としては「ムムッ!! 本荘市にすごい寺ありっっ!!! ぜひ寄らねばっっっ!!!!」ということになる。

旅はいよいよ本荘市に入り、永泉寺の駐車場に車を停める。‥‥どうも写真の雰囲気と違うような‥‥。周りは市街地で樹木も山門の辺りに松が生えているだけで、やけにさっぱりした寺だ。ホントにここが永泉寺なのか? ‥‥でもまあせっかく来たのだからお参りしようかと思って車を降りる。
と、その瞬間強烈なデジャビュのような感覚とともに記憶がよみがえってきた。 「この寺、前にもこうやって来たんだった!」
なんたること。同じ寺に同じような期待をして参詣した記憶が突如よみがえってきたのだ。寺のディテールに関する記憶は何も残っていないし、そもそも本荘市に来ことがあるということさえ忘れていたのだが、“確かに来た"という確信があるのだ。
もっとも、冷静に見れば永泉寺は本荘藩主の菩提寺でもあり、なかなかの名刹なのである。
堂宇は山門(上段写真)、本堂(下段写真)、鐘楼、鎮守堂、庫裏。
(1999年08月23日訪問)