ラカナ村の農家

パアンの美しい村、ラカナで農家を訪問。

(ミャンマーカレン州パアン)

ミャンマー暦の新年の休暇の最終日。職場のスタッフがヤギと七面鳥をコーカレイまで運ぶというので、私も一緒について行くことになった。ヤギは私の仕事には関係ないのだが、ついでにタイ国境を見せてくれるという。

コーカレイはパアンからタイ国境側へ80kmほどいったところの町。そこから国境の町ミャワディまではわずか30kmくらいで目と鼻の先だ。

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まずヤギの受取りにラカナ村へ向かった。

その農家の一軒へと入る。

カレン州の田舎の農家はこんなふうに、道路から引っ込んだ雑木林の中に建っていることが多い。これまで気になっていても、敷地に入っていって中を詳しく見る機会はなかった。

今回はせっかくなので少し詳しく紹介しようと思う。

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主屋である。

木造の高床式で屋根はトタン葺き。

壁はあって無いようなもの。熱帯の国なので通風が重要であり、これで困ることはないのだろう。

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基礎は独立基礎で、柱の下にコンクリートのブロックが置いてある。見たところ田舎の家でもこうした独立基礎で建てられている家がほとんどである。想像だが、古い家だとこれが掘っ建て柱になるのではないかと思う。

室内への入口はハシゴ。財力などを考えたら階段も作れると思うのだが、多くの家がハシゴのままなのは伝統なのだろう。ハシゴは柱の左右の長さが違っているのが本来の形で通常は室内側が長いとされているが、この家では逆になっている。

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中を少しだけ写させてもらう。

手前の広い空間はパブリックな居間で、来客時には人をあがらせる。私も何度かこうした空間に上がらせてもらったことがある。

その奥には薄い網代壁があって、その奥はおそらく寝室などだと思われる。プライベートな空間の割合は概して広くなく、房事などがどうなっているのか気になるところだ。

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こちらは同じ敷地にあった別宅。

地面から土を20cmくらい盛り上げて、掘っ建て柱で建てられている。土を盛るのは雨季に水が入らないようにするためだろう。

こちらはこのファミリーの隠居が住む家か、若夫婦が住む家か、そんな感じではないかと思う。

屋根は草葺き。インペという広葉樹の葉で葺いてあり、2年くらいしか持たないという。

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床下には火を燃やした跡がある。煮炊きのための場所なのだろうか。

脱ぎ散らかされたサンダルを見ると、女の子が住んでいるのか。

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インペで作られた庇。

縁台は日中に休憩したり、昼寝したりする場所ではないか。

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七面鳥と鳥カゴ。

きょう、この七面鳥もコーカレイまで運ぶ。

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鳥小屋か。

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中を覗いたが、何もいなかった。

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藁グロ。

乾季のあいだ、家畜に食べさせるものだ。

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ブタ小屋。

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ヤギ小屋。

ヤギは湿気を嫌うので、床は高くしてある。

このように家畜の種類や頭数は豊富。

実はここ、けっこう裕福な農家なのじゃないかな。

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インペの葉はこんなふうに加工されて売っている。これを並べてゆけば屋根が葺けるわけで、見た目ほど手間はかからないのかもしれない。

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(もみ)倉。

竹で編んだ巨大な籠の中に籾が保存されている。

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竹の編み目は粘土でふさいであって、細かい種がこぼれ出ないようにしてある。

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中から籾を採り出すときは、籠の中に人が入って作業する。

こんな適当な造りではネズミやスズメなどに中の籾を食べられてしまいそうだが、そういうことはあまり気にしないお国柄なのかもしれない。

市場でも米屋の店頭のコメをスズメがついばんでいたりするし。

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パンヤの実。

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中には綿状の繊維が入っているが、綿花のワタのように紡ぐことはできず、枕の詰め物などに使うのだという。

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ヤギを運ぶダンプが到着。

このままではヤギが飛び出てしまうので、竹で柵を作ることになった。

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農家の敷地にある竹をナタで切り出して手際よく組み立てていく。

縛るのに使っているのは、古新聞を縛るときに使う荷造りヒモみたいなものや、竹を薄く裂いてつくったヒゴ。

こんなので、でこぼこ道を80kmも走って大丈夫かと心配になってしまうような単純な造り。

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いよいよヤギをダンプに積み込むことになった。

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敷地に大径の丸太が転がしてあって、ダンプはその丸太に横付け。

これがプラットホームになってヤギを担ぎ入れるのだ。

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ダンプの改造やヤギの積み込みで何人もの大人があーだこーだ作業をしていたので、近所の子どもたちも気になって集まってきた。

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近所の若い男の子も手伝いに・・・

・・・あれ? 知ってる子やん?

むかしうちの職場のスタッフだったソーチェィンじゃないか。

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近所のおばあちゃん達も集まってきた。

なんだか、みんなおしゃれしてる?

これからどこかで女子会でもするのか。

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一番右のおばあちゃんの頭の上から何か生えてる。

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葉巻きを髪に刺してる。

これ、あとで吸うの? それともおまじないか何かか。

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ヤギを積み終えて、コーカレイに向けてGO!

荷造りヒモだけでヤギを運んでしまうミャンマー人ってほんとすごいな。

自分が日本でこの仕事をしろって言われたら、単管とクランプとか買ってきてしまいそう。そういう発想は過剰品質なんだな。

(2015年04月20日訪問)