●宮津市内銭湯
この日は宮津市内に泊まることにし、銭湯に行ってみた。ここは、化粧地蔵を探し歩いたときにチェックしておいた銭湯。
入り口左手の部分に地蔵が埋め込まれている。宮津市内にはこんなふうにちょっとしたすき間に地蔵があったりする。
福智山の銭湯と同じように脱衣所の上屋が住居になっているが、吹き抜けの構造はない。
外見は関東のちょっと古めの銭湯と同じような感じだった‥‥ところが、中に入ってみると‥‥
そこは銭湯というより、つげ義春の漫画に出てくる不気味な湯治宿といった感じだ。
もちろん番台のばあちゃんが不審な目を投げかけてきたのは言うまでもない。福智山以上に、地元民しか来ないような銭湯だったのだ。
室内の明かりはアールヌーボー風の裸電球1個のみ。
手前の壁が曲がって見えるが、これはレンズのせいではない。実際に曲がっているのだ。
床はコンクリート打ちっ放し。‥‥というと聞こえはいいが、悪く言えば土間のようになっている。
奥にカランのようなものが見える。私はそこに座ってしまったが、それは間違いだったのだ。カランからは水しか出ない! これはよそ者を見分けるためのダミーか!
正しい入り方は、手前の浴槽の四方に置かれている木の長イスに浴槽をかこむように座り、手桶で浴槽のお湯を汲で使うのだと判明。
奥に水風呂があったのでほてった体を冷やそうとしたら、地元の老人にとがめられた。これは入ってはいけない水風呂だったのだ。手前の浴槽のお湯をうめるために水がためてあるらしい。
確かに、湯船にはお湯を注ぐ蛇口はあるが、水を入れる蛇口がない‥‥。もしかして、手前のお湯の浴槽に体ごと浸かったのもいけなかったのでは。私はとんでもない間違いをしてしまったのではないかという不安感がよぎる。さすがに湯船には入っていいようだ。よく見ると湯船は一枚石でできたかなり豪華なものだった。 ←戻る 進む→