三溪立川の段畑

峡谷にある柑橘の段畑。

(徳島県勝浦町三溪立川)

勝浦川下流から上勝町へ入るには(図中矢印の)県道16号線を通って新坂本トンネルで峠を越えるのが一般的だ。新坂本トンネルができる以前には旧坂本トンネル、さらに古い時代には旧坂本トンネル付近の峠を越えていたと思われる。

坂本の集落内を通ってみるとわかるが、古くから人の往来があったのだろうなという道なのだ。

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それに対して、勝浦川に沿って上勝町へ行く方法がある。

河川は峠を越えないから、山を越えずに上勝町へ入れるのだがこの道はめっぽう狭い。峡谷を抜けていく隘路なので道幅は狭くカーブも多い。思うに、このルートは昔からあまり利用者がいなかったんじゃないかという気がする。

上勝町からの帰路、この峡谷沿いを通って勝浦町へ抜けてみた。

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行程のほとんどは暗いスギ林の中を抜けていくのだが、ところどころに人の暮らしがある。

これから紹介するのはそのひとつの柑橘畑だ。

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杉林の中に日の当たる斜面があり、見事な段畑が築かれている。

たぶん作目は温州みかんだと思う。勝浦町はみかんの大産地なのだ。中央に見えている小屋はみかん蔵だろう。

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段畑は大きな石で積まれていて、法面はほぼ垂直に近い。

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ひとつの石を持ち上げるのだって大変な重さだと思うのだが、よくこれだけ積んだな。

そしてこの畑の前後の現在スギ林が続いている場所も、もともとは段畑だったのだ。

(2003年05月24日訪問)