尾崎の石風呂

崖に下屋をつけた2階式石風呂。

(大分県豊後大野市緒方町小宛)

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午後からは石風呂めぐりをしよう。

尾崎の石風呂は、旧緒方町の里山にあり、国指定有形民俗文化財指定のレベルの高い石風呂だ。ただし文化財の石柱から石風呂までは500mくらいあり、わかりにくい場所だ。もし分からなければ村の住人に聞くしかない。

目安としてはこの石柱から100mほど行ったら、右側に降りるコンクリ舗装の細い急坂があるのでそこを下ることだ。

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石風呂があるのは北向きの谷戸の棚田のどん詰まりみたいな場所。

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現在は近くに人家はない。

集落から少し離れていて不便な場所だ。以前にはこのあたりにも人家があったのだろうか。

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石風呂の案内板。

石風呂はすでに何度も書いているが、石や土でできた昔のサウナである。

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いや~、いきなり凄い石風呂が出てきたな。

崖に刻まれた石窟寺院のような荘厳さだ。

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昭和時代に文化財の指定に先立って、きれいに修復したので構造がわかりやすい。

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構造は2段式。

2段というより、溝式とでもいったほうがわかりやすいと思う。室の中央に溝がありそこで薪を燃やして室内を焼き、石菖という野草の葉を敷いて蒸し風呂のようにして使った。

きのう見た瀬口(せのぐち)の石風呂も2段式だというからこんな構造だったのだろう。

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中から外を見たところ。凝灰岩のひとかたまりの岩をくりぬいてある。出口はムシロで塞いだという。

ちょっと写真がわかりにくいが、溝は上から見ると魚の骨というか、‡の字みたいに分岐していて熱が床全体に広がるようになっている。

中は2畳ほどで狭く、4~5人も入ったらかなりギュウギュウだと思われる。

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室は垂直の崖に掘り込まれていて、雨よけの下屋が取り付けてある。これが元々の姿なのかはわからない。

炎で屋根裏が焦げそう。

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室の右側にはくぼみがあり、薬師如来が祀られている。

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石風呂の右側には人工的に削られたヤグラみたいな場所がある。かつて牧を保管したか、風呂を浴びたあとに休憩する小屋でもあったのではないか。

(2012年03月24日訪問)