ただしこの富士塚自体に駐車場はない。
ひとつ前の写真の崖下の道路きわの空き地に1~2台路駐できるけれど、正直あんまり空気がよくない。どこからともなくガラの悪い人が現れて、からまれそうな空気っていえばいいか・・・気のせいかもしれないが。
近くの駐車場は埼玉協同病院北のタイムズか、少し歩くが芝川右岸の道路または大間木公園の無料駐車場になる。富士塚に隣接する見沼通船堀の東西線遺構を含めてじっくり楽しむのなら大間木公園に駐車するのが確実だろう。
もう一つのプランは、富士塚の北側が日本料理屋になっていてリーズナブルなランチもあるので、昼間の訪問ならばここで昼飯を食べて、ついでに富士塚を見学するというのもよさそう。
さて、富士塚を見ていこう。
見沼田んぼ東縁の崖線の上にあるのは、東沼神社の富士塚とよく似ている。塚の上は雑木林になっているので、塚本来の輪郭は目視できない。
案内板によれば、富士塚の直径は20m、高さは5.4mとのこと。ただし崖線上に造られているので、崖の下から登ればその倍近い高さがある。
この案内板の説によれば、この富士塚は近隣の富士講「丸参講」が1800年に築造したもので、確認できる埼玉最古の富士塚だという。
富士講研究者の大谷正幸氏によれば、現在確認されている埼玉最古の富士塚は富士見市にあるオトウカ山とのこと。またそれは「富士登山の疑似体験装置としてのミニチュア富士」という狭義の富士塚であって、単に富士浅間信仰に基づく塚はさらに時代をさかのぼることができる。
この富士塚の特徴は、胎内潜りの洞窟が現存することと、山頂に噴火口のくぼみがあること。現実の富士山の火口の「お鉢巡り」を再現するものだという。
胎内洞窟は田子山富士塚にもあるので、優れた富士塚の装備として重要なポイントだ。
すそ野に置かれている大日如来像。
浅間神社は塚の北側にあり、東面している。
鳥居の右側には板碑。
これが築造の経緯が書かれた碑なのかな。
浅間神社は暗い森のなかにある素朴な社。
神社横の小祠。
中にいるのは観音菩薩か? 摩滅していてはっきりわからない。
塚に登ってみよう。
神社の鳥居のあるあたりが登山道の入口になっている。
途中でS字にカーブして山頂へ。
「合目」を表わす道標は見つからない。
山頂へ到着したが、噴火口とされる穴が見当たらない。
写真奥の平地の辺りかと思うのだが、埋め立てられてしまったようだ。
北側の神社を見おろす。
南側は崖線とひと続きなので高度感がある。
南側にも別の登山ルートがあるようだ。
帰路は南側へ降りてみよう。
石段は見沼たんぼ東縁の崖下まで続いている。
南側登山道の下に崖をコンクリで固めた法面があり、その下部に穴が空いていた。
これが胎内窟なのか?
トタン波板で塞がれているが、洞窟自体はまだ残っていそう。しかもどういうわけか板は内側から固定されているようなのだ・・・いったいどうやって???
崖下の道で富士塚のすそ野を巻いてみた。
すると西側にも胎内窟の入口があった!
やはり塞がれているが、こちらの方が穴が大きい。
この胎内窟は入口と出口が別なのか。現実の富士山の胎内窟でいうと印野胎内がこのタイプである。
これは入ってみたいなぁ。山開きとかあるんだろうか。
(2022年05月02日訪問)
日本のお寺・神社 絶壁建築めぐり
単行本(ソフトカバー) – 2019/6/22
飯沼義弥 (著), 渋谷申博 (監修)
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