猪目洞窟

古代の墓所として使われていた海食洞。

(島根県出雲市猪目町)

再び海岸線へ出て、西進する。ショッピングセンターがあった河下港の次にある漁港が猪目(いのめ)である。全景からも目に入ってくるのが海食洞だ。

その海食洞のひとつ「猪目洞窟」に行ってみることにした。

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洞窟は猪目集落の西の外れ、小さな岬にある。県道を走っていくと岬にトンネルがあり、洞窟はその手前の橋の下にある。

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橋からも大きな崖が見えるので、注意していれば見逃すことはないだろう。道のすぐ横にある。

ただ至るところに「駐車するな」というような看板があり感じはよくない。確かに地域としては海水浴の違法駐車に迷惑しているのかもしれないが、大して迷惑のかならないような町外れの県道にまで看板を立てまくられると、初見の観光客にまで雰囲気が悪くなると思う。

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この洞窟は猪目集落の船の格納庫として使われている。このウインチなどを設置する際の工事で、縄文時代から古墳時代にかけて積層したさまざまな遺物が発見され、古代の墓所だったと推測されている。

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この洞窟はかなり古い時代から知られていて、奈良時代に編纂された『出雲国風土記』に「(うずき)の磯の黄泉之穴」として記されているものがこの洞窟だと考えられている。黄泉の国の入口とされこの洞窟に入る夢を見るとその者は近いうちに必ず死ぬという。

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そういうおどろおどろしい伝説があるものの、洞窟自体は50mほどしかなく、中は明るい。

奥の細いところはそれなりに続いていそうで、一応、洞窟装備も持ってきていたが、水がしみ出ていてベチャベチャになりそうだったので入るのはやめておいた。

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洞窟の奥には魚見神社という小さな祠が祀られていた。

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洞窟側から猪目漁港の船置き場をみたところ。

以前白黒の写真を見て、廃船みたいなものが写っていたので、補陀落渡海の渡海舟の奉納でもしてあるのかとすごく期待していたのだが、ぜんぜん違っていてちょっとがっかりした。

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猪目は集落が山の谷に沿って奥のほうに続いていて、船置き場は集落から離れた場所にある。

集落の近くには小さな砂浜があり、美しい湾だ。更衣室やシャワーはないみたいだが海水浴場にもなっている。ただ先に書いたように駐車場が問題になりそう。

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猪目のひとつ西には鵜峠(うど)という漁港がある。

(2005年09月02日訪問)