山口市湯田温泉にある宿への帰路へとついた。時刻はもう17時をまわっている。ビジネスホテルの素泊まりとはいえ市内で夕食をとったり日帰り温泉に行くにはもう引上げても充分なころあいだ。

だが弁天池公園からいくらも走らないうちに道ばたに竜宮門をかまえた寺があった。

満泉山西福寺。竜宮門だあるだけでなく、宝塔型のあやしい建物もある。

うん、これは立寄らないわけにはいくまい。

竜宮門は二階が鐘楼になっている、鐘楼門。

全体的に大味で、竜宮門にありがちなエキゾチックな雰囲気が微塵もない。せめて柱や欄干を朱塗りにすればよいと思うのだが。

でも二階へ登れるのはうれしい。

本堂は石州瓦葺き、軒に添え柱を巡らしたいかにも浄土宗系っぽい作り。

本堂の右側には東司。

本堂の前には親鸞上人のブロンズ像がある。

本堂の左側には庫裏。

山門の左側に見えた宝塔型の建物は位牌堂だった。二層に欄干が巡っているが、内部に二階はなく、吹き抜けになっている。

こうした外観をもつ位牌堂は過去にも、竹原の長善寺、知多半島の蓮花院、三河湾の勝楽寺、北上の極楽寺など枚挙にいとまがない。だがこれは決まった様式などではなく並行進化の結果なのであろう。ただし主観を持って言うなら、山口県に重層の神社やお寺が多いと感じるのと同様、重層の位牌堂も多いような印象がある。

内部は明るく整然とした立派な位牌堂だった。