那東の火山型滑り台

コンクリ製の迫力ある名滑り台。

(徳島県阿南市羽ノ浦町中庄トキ内)

夕飯を食べられる場所を探してさまよう。せっかく羽ノ浦の町の中をうろつくのだから、通り慣れた街道沿いの店ではなく珍しいところへ入りたいと思って路地を走っていたら、また公園があった。

もうだいぶ暗くなっているが、寄ってみよう。

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公園の名は那東(なとう)農村公園。先に紹介した宮倉農村公園と似た看板がつけられている。そこには「農村総合整備モデル事業」と書かれており、同じ助成金で作られた公園なのであろう。

公園の入口には石仏が祀られている。見れば「阿波坂東三十三観音霊場」などと書かれているではないか。坂東霊場とは関東地方の札所巡りであり、四国で関東の霊場を写した霊場というのは珍しい。

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公園は公民館に併設されている。もともとは寺の敷地だったのかもしれない。

公民館前には2~3台の駐車スペースがあるが、周囲は狭い道ばかりで日中に訪問した場合は離れた場所で探さなければならないだろう。

写真を撮ったのがあまりにも暗くなっていたので再訪しようかとも思っているのだが、駐車スペースを探すのがおっくうだ。

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その公園の西側の大きなクスノキの下に火山型の滑り台がある。

雰囲気は当サイトで以前紹介した徳島市の大西公園の火山台とよく似ている。

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山の外周はでこぼこと入り組んでいるが、その部分から登ることはできず、かつ、遊びにも使えそうにない。(フリークライミング的な遊びはできるが。)

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その効率の悪さがこの台の楽しいところだ。滑り台は効率を突き詰めていけば、公団型のような味もそっけもない規格品になってしまうだろう。このように遊び心にあふれ、同じものが二つとない遊具こそ称賛に値しよう。

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この凹部など「さぁ、登れるものなら登ってみな」と言っているようではないか。

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階段は直線的な階段になっている。

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さっそく登ってみよう。

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デッキに登ると、階段から見て正面に滑降部がある。滑降部は左回りで山を360度巻きながら滑り降りる。

そして左右にはコンクリの手すりに切れ込みがあり、鎖で封じられている。

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切れ込みから外を見ると、一周した滑降部が真下に見える。ここから登り降りすることは不可能だ。この切れ込みは下を覗くことによって、螺旋形になったこの台の立体的な空間を楽しむためのものなのだろう。

もしこの切れ込みがなければ、この山は単調な一本道の通路になってしまうかもしれない。さざえ堂に吹き抜け部分があることで立体構造を意識させるのと同じ機能だ。

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滑降部はかなり急。

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途中にはトンネルもある。階段の下をくぐる箇所だ。

大西公園の火山台は滑り始めがトンネルになっていたが、こちらは180度回転のあたりがトンネルになっている。個人的には大西公園の設計のほうが面白みにつながっているように思う。

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全体的には大西公園と同じコンセプトの姉妹台と言っていいだろう。ただメーカーが同じかどうかまでは判断できない。

大西公園の台のほうが洗練されているが、これは羽ノ浦、那賀川を代表する名滑り台だ。

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園内の他の遊具を見ていこう。

ライオンとシロクマのライド。ただしシロクマは乗ることができないので単なる彫刻か。

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タカオ(株)製の幼児向け小型滑り台。

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シーソーと謎のキノコ。

キノコは遊具と思われるが、明確な遊び方のイメージが浮かばない。

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キノコの傘の裏側。

園内にはほかにブランコがあった。

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2008年3月8日に再訪したら、クスノキが伐採されてしまっていた。

(3枚目の写真と同じアングル)

(2004年03月07日訪問)