パアン市へ帰るためにモーラミャイン市街地を走行中、立派な教会が目に入った。
看板によれば、名前はカトリック J.M.J. 教会。
かなり疲れていたのだが、素通りはできない物件だったので立ち寄ることにした。
大きな教会堂と小さな教会堂が並んで建てられている。
目を引くのは、なんといっても大きな堂。
巨大なレンガ造りの西構えがすごい迫力を持って迫ってくる。
平面は十字架型で、西構えの左右は明確ではないものの塔になっているのだろう。
双塔付きの単廊十字架型教会堂である。
側面のアーチ窓の装飾も細かい。
年代的には植民地時代、20世紀初期の建物だろう。
扉が開いていたので中に入ってみた。
入ってすぐのところにあった像。
たぶん子供がキリスト、大人の男女はヨセフとマリアであろうと思う。こういうジオラマ的なものは「クレッシュ」という。
処女懐胎したマリアの夫を選ぶとき、神が国の男たちに枝を持たせて集めたところ、ヨセフが持つ枝に花が開いたことから、夫に選ばれたという説話の場面ではないか。
これは「十字架降下」という場面であろうと思う。
ミャンマーのお寺ではジオラマによって、仏陀の威光を分かりやすく表現しているのをこれまでにたくさん見てきたが、それはミャンマーキリスト教会にも同じような傾向があるのだろうか。
お寺みたいに、無数のクレッシュが並んでいる教会とかあったら、ぜひ見てみたいものだ。
建築物の外側の情報量の多さにくらべ、室内は全体的にあっさりしている。
三廊式ではなく、室内空間がひとつしかない単廊式だからか。
さらに気になるのが、屋根の架構。
壁がレンガ積みで古典的な造りになっているのに対して、天井はなく、屋根は軽量鉄骨トラス造の波トタン葺きのむき出しというアンバランスな造り。まあ仏教の大仏殿の架構もこんな感じなので、ミャンマーの建築物としては普通と言えば普通なのだが・・・。
建築当初は木造の小屋だったのかとも想像してみたが、スパンの大きからすれば始めから鉄骨だったような気もする。
室内ファサード側の壁面は3間にわかれていて、中央の1間にだけ二階のバルコニーがある。
側壁は細かいアーチ窓で見ごたえあり。
色ガラスは使われていない。
そもそも、いまはまっているガラスは後補のもので、創建時は枠だけだったのではないか。
翼廊部分の様子。
「
側壁のアーチ窓を横から見たところ。
縦長の枠にはガラスのガラリ板で満たしてあり、上部の円形の穴にもガラスがはめてあるが、それ以外の部分は吹き放ち。
そもそもガラリ板もほぼ吹き放ちといっていいものなので、風通しはよさそうな教会堂だ。ミャンマーの気候に合わせて工夫しているのだろう。
隣には小さな教会堂があった。
入口には巨大なイエスの像。
内部は三廊式だが、所々に二階桟敷があるというような不思議な造り。
内陣方向にも内陣らしき構造はなく、お芝居の書き割りのようなものが積んである。
ここはお芝居を演じるための場所なのだろうか。
二階桟敷も決して舞台を観覧しやすい造りとは思えず。
謎の残る教会堂であった。
(2015年04月19日訪問)
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ムック – 2023/9/11
昭文社 旅行ガイドブック 編集部 (編集)
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