コウカッタン洞窟寺は、パアン市郊外にある遊園地のごとき観光寺院、というか、珍寺である。初めてパアンを訪れたとき、三輪タクシーをチャーターして見物に行った。
英語圏における『地球の歩き方』に相当するガイド本『lonely planet』にはこの寺について「3つの洞窟がある」と書かれている。私はそれを、カラフルな仏像が並ぶ洞窟、水浴場に行く途中にある水の溜まった洞窟、水浴場の水が沸き出している洞窟、の3箇所だと思っていた。
ところがその後、雨季にパアンを訪れ、職場の若いおにいちゃんがこの寺に連れてきてくれたときに、3つの洞窟のうち私はまだ1つしか見ていなかったということを知った。いろいろと聞いてみると、地元でも誰もが3つの洞窟を知っているわけではないようだ。去年チャーターした3輪タクシーの運ちゃんもたぶん知らなかったのではなかろうか。
しかし第2洞窟は入口の扉が施錠されており、そのときは中には入れなかった。なぜ施錠されているのかはわからない。
もしかしたら時間が遅かったのかと思って早い時間に出直したり、雨季のせいかと思って乾季に行ってみたり、結局ここまでに合計4回もこの場所を訪れている。
今回で5回目の訪問になる。パアンの寺でこれほど何度も訪れている場所はほかにない。
第2洞窟は、またの名を「ルビーケーブ」とも言うそうだ。初めて来たとき第2洞窟に気付かなかったのは、決して三輪タクシーの運ちゃんが悪かったのではない。私の集中力不足であり、100% 私の落ち度である。
では、改めて第2洞窟への行き方を紹介しよう。
カラフルな仏像が多い洞窟寺を出ると、托鉢行列仏がある。
この托鉢行列仏をたどっていく。
すると、行列は山の上へと続いていて、そこにはパステルカラーの祠がある。
初めてこの祠を見たとき、私は「ナッの祠だろうな、階段登るの面倒くさいから見たってことにしよー」と、スルーしてしまっていたのだ。
だがそれはとんでもない過ちであった。ミャンマーのお寺で托鉢行列仏があったら、行列の終わりは必ず確認すべきなのだ。石にかじりついてでも!
石段の下で履物を脱ぎ、祠へお参りする。
雨季のとき、ここまで来て洞窟も祠も施錠されていてそのまま雨に降られて何時間も庇の下で雨宿りした、あのだるい記憶がよみがえる。
今回は祠も開いているし、管理人がいる。
これは期待していいのではないか。
祠の内部。
お坊さんが寝起きできそうな感じ。
仏龕が売っていた。
これはお土産ではなく、購入するとあとで洞窟の壁にモルタルで貼り付けてもらえるものだ。
托鉢行列仏の最後尾もあとわずかだ。
行列の階段を登り切ったところに、ルビーケーブへの入口がある。
ここが施錠されていて、4回この場所で引き返したのだ。
今日やっと雪辱の日となった。
洞窟はゲートを入るとすぐ下っている。
そこから先は、ほぼ床面は平坦になっている。
しばらくトンネルのような通路が続く。
かなり奥が深い。
奥に行くにしたがって天井が高くなってきた。
第1洞窟よりも長くて大きな鍾乳洞だ。
支洞を使って、不思議な行列仏が作られていた。
左右の神さまが傘蓋を仏陀に差し掛けている。
梵天が仏教を人々に広めるように仏陀を説得に来たという、「梵天勧請」の場面だろうか。
立派な鍾乳石も見られる。
さらに奥へ進もう。
大きな穴があり、その中にコブラ光背仏がいた。
この穴は周囲を手すりで囲まれていて、人が落ちたりしないようになっている。
そして、わざわざ穴へ入れるように階段がついていた。
階段を降りた先には、這って入れるくらいの支洞があった。人が入っている痕跡がある。
この支洞は実は洞窟探検スポットなのではないか。
泥だらけになりそうなので、入らなかったけれど。
寝釈迦。
跪拝するための基壇には、コウモリの糞がびっしり。
だれも登っていない。
上を見上げてみたら、気持ち悪い穴があいていた。
水が抜けた穴だろう。
ちなみに、その後、乾季にまた訪れてみたら、やっぱり施錠されていた。
この洞窟は、新年とか安居の祭り、満月祭みたいな特別な日にしかオープンしないのかもしれない。
(2015年04月16日訪問)