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雨がちの週末。雨がやんだわずかなすきにパアプゥ山を訪れることにした。
パアプゥ山はパアン市からは北西の方向、サルゥィン河の対岸にある。まるで葛飾北斎が描いた富士山のようなシルエットの山である。
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パアプゥ山へ行くには、5km下流のサルゥィン大橋を渡って片道10kmの陸路を行く方法と、パアン市内から渡し舟で行く方法がある。
英語の観光ガイド本『lonely planet』には、渡し舟で行く方法が書いてあったので、せっかくなので渡し舟を使ってみた。
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渡し舟の乗り場はシュエインミョウパゴダのすぐ北側。
乗り場案内などはなく、どの舟がパアプゥ村へ行くのかすぐにはわからなかったが、たまたま声をかけたおばちゃんが私もパアプゥ村に帰るところだからと言って案内してくれた。
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おばちゃんのバスケットからは生きたニワトリが首を出している。買い物帰りなのだろう。
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舟は川岸の粘土にめり込むように停泊しているから、乗り込むといっても、下手すると滑り落ちて川にはまりそう。
それでも恐る恐る乗り込むと渡し舟はすぐに出発した。
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舟は平底の細長いボートでエンジン付き。船底から浸水しているようで、助手の子どもが終始水を汲み出しているのがちょっと怖い・・・。
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サルゥィン川は中国の雲南省を源流とした全長2,400kmの大河だ。もともと水量が多く、いまは雨季のためさらに川幅も広くなっている。
濁った水面を見ていると「いま舟が沈んだら岸まで泳げるかな」と余計なことを考えてしまう。
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無事、パアプゥ村までたどりついた。
港や桟橋などはないため、へさきのところから飛び降りる。
料金は500チャット(約40円)だった。そういえば、私が子供のころ利根川に渡し舟があって、たしか料金が40円くらいだったような記憶がある。ミャンマーはそういう点でも昭和の日本のような感覚なのだ。
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船着き場から村までは頼りないような細い道で、ところどころひどくぬかるんでいる。
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ぬかるみでは竹が転がしてあるのでその上を歩かないと泥まみれになる。
パアプゥ山がだいぶ近くに見えてきた。
頂上付近に円筒状の大岩がある独特の形のため、パアン周辺の山の中ではすぐに見分けることができる。
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「パア」は「カエル」、「プゥ」は「低い」というような意味。「プゥ」には「身を低くして隠れる」という意味もあり、「パアプゥ山」は「カエルが身を隠した山」というような意味になる。
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村のメインストリートを北へ進むと、山門が道路をまたいで建っている。おそらくパアプゥ山のお寺の山門なのだろう。
道はここでもひどくぬかるんでいて、右側を歩くか、左側を歩くか真剣に見極めないと進めないほどの悪路だ。
![写真](41hpapumonastery10.jpg)
門を過ぎると、廃虚のような僧房があった。
一階部分は野良犬のすみかとなっている。二階は僧衣が干してあるがベランダに手すりがなく本当に住めるのだろうか。
急に空が暗くなり、激しい雨が降ってきた。
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この僧院は素通りするつもりだったのだが、井戸堂で雨宿りさせてもらうことにした。1時間以上はここに足止めとなり、雨に煙るパゴダや、雨に濡れながらオートバイを走らせる地元の人などを眺めて過ごした。
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雨がやんだので、せっかくだから僧院を見学することにした。
三仏堂があった。
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座禅をする姿の三体の仏陀。
仏像は小さな岩山を背にしている。
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その岩山にはパゴダがあるので登ってみた。
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石段は濡れて、川の石のようにぬるぬると滑る。わずかな段数だが気が抜けない。
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岩山の上にあったパゴダ。
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サルゥィン川がよく見える。
反対側にはパアプゥ山。
これからあの山を目指すのだ。
![写真](41hpapumonastery15.jpg)
・・・と思ったら、また雨が降り出す。
さっきの井戸堂に逆戻りだ。また小一時間、井戸堂の石段に腰掛けてぼーっとする他はないのだった。
結局この僧院には2時間以上滞在することになった。
(2014年07月12日訪問)