オンズェイトゥ寝釈迦

崖の途中に左脇臥の寝釈迦がある。

(ミャンマーカレン州パアン)

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ズェガビン山脈の西麓をさらに南へと進む。

道に面してまた面白そうな山門が建っていた。

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山門の上に小さな堂があり、その中に仏像が入っている。こういう立体的なオブジェを載せた山門は、参詣しても大丈夫な寺である場合が多い。

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よく見ると、奥の崖のくぼみに寝釈迦がある。

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さっそく、寝釈迦へと向かう。

参道は草のはえたあぜ道で斜度があるので滑るのだが、時間の節約のためオートバイでできるところまで進む。

涅槃像は「右脇臥(うきょうが)」といって右脇を下にして横たわるのが一般的だ。つまり向かって左側に頭がくる。ところがこの寝釈迦は下写真のように右側に頭が来ているのが珍しい。左脇臥とでもいえばいいのか。

いや、単に珍しいというレベルではなく、世界中さがしてもここ以外にないのでは?というくらい特殊な大仏だ。

その姿勢も寝ているというよりは上半身を曲げて起き上がっている。顔の部分などは完全に垂直に起きた状態だ。

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寝釈迦の下まで来てみると、なにか動くものがある。ヤギだ。ヤギが仏像に登っている。

ミャンマーでは、道端にさまざまな動物が野放しで生活している。ニワトリ、アヒル、七面鳥、イヌ、ネコ、ヤギ、ブタなどがつながれることなく道端で餌を食べているのだ。

だがそうやって野放しになっている動物たちにも家はある。自分が飼われている家に犬小屋なりヤギ小屋なりがあって、そこで生活をしている。

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だがこのヤギは少し雰囲気が違う。この磨崖仏に住んでいるっぽいのだ。どこかから脱走してきてここに住み着いている野良ヤギなのではないか。

寝釈迦へと登る石段の途中はヤギの糞だらけ。

通常、こういう石段は履物を脱いであるく領域なのだが、悪いがサンダルを履いたまま参詣させてもらった。

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大仏の基壇に登るとヤギ達は仏像の上へ上へと逃げていく。

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仏像は崖の壁面にレリーフのように半分張り付くように作られていた。

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フトマルヤスデの一種がいた。

色合いに反してたぶん危険な生き物ではない。もちろん触らないけどね。

触るととぐろを巻いて丸くなるので、こちらでは子どもたちが遊ぶような生き物。日本のダンゴムシ的な存在だ。

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この崖のくぼみは石灰岩質の山が溶けてできた小さな鍾乳洞のようなものだ。部分的には鍾乳石のようなものもある。

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崖の上にもいくつも窪みが見える。

そのいくつかは洞窟なのかもしれない。

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寝釈迦から参道を見た風景。

街からはだいぶ離れており、農家もまばらにあるだけの田園だ。

ちなみに、この道をもどる最中にオートバイのキーがないことに気付いた。この道の草むらのどこかで落としたようなのだ。

もしかしてタクシーで帰宅することになるのかとかなり焦ったが、偶然にも落ちているのを発見できた。いまだによく見つけられたものだと思う。

(2014年07月06日訪問)