街道筋のレストランで昼食をとって、ヤンゴンへの帰路についた。途中で、運転手が「ココにも大仏があるョ」と言って、大きな寺に立寄ってくれた。バゴー・ヤンゴン街道の途中にあるので、車窓から注意していれば気付くような寺だ。
寺の名前は、GoogleMaps によれば "Kay Thun Pagoda" とあるが、そのとき聞いた名前の「タンマロウハ大仏」としておく。ミャンマー語の発音は、私が聞き間違っている可能性もかなりあるが、なるべく現地で聞いた通りの名前を書いていこうと思う。
山門は三角形のシルエットをしていて、左右に天部の神様が埋め込まれている。
山門の手前には巨大な2頭のゾウ。
天部の神様は山門の裏側にも埋め込まれているので、山門全体では4体が祀られてる。
日本では天部の神、主に四天王を祀る形式の八脚門や楼門があり、それらは「四天門」と呼ばれる。
この門も、四天門と呼んでよいだろう。
山門の前の左右にはミャンマーだるまがある。
私にとっては、いまだに謎の存在である。
男女があるとされていて、写真で大きいほうは女性ではないかと思う。
小さいほうは、なんと髪の毛があってツインテールになっている。こんな達磨があるはずがない。日本の「姫達磨」に近い存在なのかもしれない。
境内を囲む塀は小さな仏塔の連続体でできていて、その内側に頭が丸い塔がまた並んでいる。
この塔、たぶん丸い部分は地球儀だ。
山門の横には円窓が並ぶ不思議な建物。
僧房かな。
大仏殿は左右に越屋根を載せた、これまであまり見たことがない形式の本堂だ。
内部には座像の大仏が鎮座し、その四隅に立像の仏像があるという配置。お坊さんが言うには、本尊はマンダレーのマハムニ大仏の姿を映したものだとか。あまり似てるようにも思えないのだが・・・。
急に外が土砂降りの雨になった。
境内にいたノラ犬までが本堂に駆け込んでくる。痛いほどの雨なのだろう。
後ろにあるのは水がめ。都会の寺だと、冷水器が設置されていることもある。
修行僧が慌てて風上の扉を閉める。
しかし、壁に沢山の丸い穴があいているので、雨は容赦なく吹き込んでくる。
堂内が雨でびしょびしょに濡れてゆく。
それでも、本尊の後ろではカップルがお構いなくいちゃついている。
ミャンマーでは寺が唯一の娯楽といってもいいわけで、カップルがデートするのもお寺。そして、お堂で愛を語らっているのをけっこう見かける。
近くに大学があるので、大学生が遊びにきている。スマートフォンの使い方を教えているところだろうか。
ミャンマーの男友達同士は、けっこうスキンシップが多い。肩を組んで歩いたりとか、腰に手を回したりしているのを見かける。最初は、ゲイのカップルかと思ったけれど、どうやらそうでもないらしい。
さて、本尊の四隅に立っている仏像を、時計回りに見ていこう。
せっかくお坊さんがいるので、解説してもらうことにした。
「この印相はなんですか?」
「コレは、薬をあげて衆生を救済する印相ダヨ」
「この印相は?」
「・・・・・・ゴメン、わからない、残りの3つもわからないョ。」
ええーっ、意外に頼りにならないお坊さんなのであった。
あとで通訳さんに聞いたところ、これは、釈迦が前世で医者だったときに、薬になる種を右手に持って救済に行くというポーズではないかと思う。『地球の歩き方』によれば、これは拘那含牟尼仏だそうだ。
これは、死にゆく人に対して涅槃へ行けるから恐れるなと説く印相ではないかと思う。
『地球の歩き方』によれば、釈迦牟尼仏。
これは、釈迦が悟りを開いたあと5人の修行仲間に初めて説法をする印相か。『地球の歩き方』によれば、拘楼孫仏。
4体はいずれも、釈迦以前に出現したといわれる仏陀である。以前に、パアンのガバーロンパゴダで見た四面仏の印相とほぼ同じ構成だ。このパターンを覚えれば、ミャンマーの寺ではけっこう使い回しがきくような気がしてきた。
本堂の片隅に、3人のお坊さんの像があった。
白のガンダルフ、こと、ポーポーアゥン(ဘိုးဘိုးအောင်)。
ボーミンガウンとよく一緒に祀られている。
名札はないので有名なお坊さんなのだろう。
このへんの有名なお坊さんも、ゆくゆくは見分けられるようになりたいものだ。
おっさん、こと、ボーミンガウン(ဘိုးမင်းခေါင်)。
等身大なので、顔つきとかポーズがリアルで、けっこういい味を出している。
本堂から南のほうへ回廊がある。
回廊の先にはパオみたいな小屋や、講堂、その奥にも層塔のついた建物が見えている。
雨がひどいので回廊の中から出ないように近くまで行ってみた。
パオみたいな小さな小屋の近影。
内部にはなにも入っていなかった。
講堂。
雨がまだ強く降っていたので、中までは見なかった。
他には、本堂の裏手に湖があり、浮御堂があるようだった。
(2014年06月22日訪問)
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