初市まつり

「だるま市」とも呼ばれる大きな市。

(群馬県前橋市本町2丁目)

毎年1月9日に前橋市街地で行われる「初市」に行ってみた。神社仏閣の縁日でもなく、山車や踊りなどが出る祭りでもない、モノを売るための純然たる(いち)である。全盛期には800以上の露店が出たという。この日も500以上の露店が出ており、北関東の市としては最大のものではないかと思う。売られるのは縁起物、食べ物、玩具、日用品などである。残念ながら、お化け屋敷、見せ物小屋、オートバイの曲乗りなどの小屋は出ない。

私はむかし前橋に住んでいたのだが、祭りはあまり好きではなかったので、中学生のときを最後に初市には行ったことがなかった。ひさしぶりの初市である。目的はむかし見たような露店がいまでもあるのかをチェックすることだ。特にターゲットとしたのは、繭型のカプセルを滑り台のようなレールに転がし落とす玩具「まゆ玉ころがし」である。まゆ玉ころがしは元はどこで作られていたかは知らないが、養蚕県、群馬にはなじみ深い玩具だったと思う。

写真
写真

初市は、縁起物のだるまを買い求めることから「だるま市」とも呼ばれる。群馬県のだるまは高崎市にある小林山達磨寺が有名で、前橋で売られるだるまも高崎系のものだ。

高崎市では1月6日夜に、小林山(しょうりんざん)のだるま市がある。前橋市民が主にだるまを買うのが1月9日の初市である。

写真

私は群馬で育ったので、私の中ではだるまといえばこの高崎系が基準だ。他の地域のだるまを見ると、ヒゲの本数や、ボディの縞模様の数などに違和感を感じてしまう。他の地域の人が高崎だるまを見たら、やっぱり違和感を感じるのであろうか。

だるまを買うときは値切るほど縁起が良いとされるが、私にはそういうところが逆に買いにくく感じてしまう。私の両親も小林山で定価販売しているだるまを買うことが多かったようだ。

写真

だるまが売られているのは、主に国道50号線の本町2丁目の南側車線である。

この場所では他に干支の張り子、招き猫、獅子頭なども販売される。獅子頭は後ろに竹のバネがついていて、口と耳をパタパタ動かすことができる。

写真

国道50号線の北側車線、東和銀行本店前付近には、熊手やお宝の店が出る。

熊手の店。

写真

「お宝(?)」の店。

福笹のようなもの。これの正式名称は何なのだろうか。

写真

神棚も売られている。

国道50号線会場の東の端付近にいつも出店している。

写真

カゴを売る店。

初市の起源は、毎月4と9の日に立った市で、もともとは日用品や生糸の市だったという。こんなお店が本来の姿なのだろう。

写真

おみくじの無人販売。

写真

東和銀行前には八幡神社の仮宮が設置される。

写真

巨大な獅子が置かれていた。

写真

さて、ここから露店を紹介してゆこう。

この日は約2時間歩き続けてすべての露店を確認し、たくさんの写真を撮ったが、全種類を紹介するには枚数が多すぎる。そこで、射幸系を中心として、あとは玩具とお菓子の店を紹介しようと思う。

まず、縁日の遊びの代表とも言えそうな射的。こんな風に乗り出して片手で撃つのが基本だ。

写真

輪投げ。

オイル式ライターやリキュールの小瓶などが高価景品だ。焼き物の人形やプラスチックにメッキした東京タワーといった景品はむかしと変わらない。

輪が景品の途中や台座にひっかかってしまった場合は景品はもらえないルールだ。

写真

玉入れ。

ルールは不明。ボールが穴に入るだけでよいのか。入った数で景品が変わるのかもしれない。

写真

空き缶にボールを当てて落とすゲームか?

たぶん、5つある缶の下段中央だけを打ち抜くように落とすとか、そんなルールではないか。

写真

ダーツ。

他の遊びに比べると運の要素が少ないように思える。上手な人がやったら、それなりに景品をとられてしまうのではないだろうか。何かカラクリがあるのか。

写真

スマートボール。

「スマートくじ」と書かれている。ルールは確認はしなかったが、玉を穴に並べると景品がもらえるというものではないかと思う。

写真

ヒモくじ。ヒモの先にプラモデルなどが結びつけられていて引っ張るというもの。

以前、花巻の夜祭りで、このヒモの先に現金(お札)が結びつけてあるという大胆な夜店を見かけた。あれ、よく警察が黙っていたな。いまでもあるのだろうか。

写真

番号くじ。

ゲームソフトが景品にあるため子供たちがむらがっていた。現代ではゲームソフトは一番の人気景品のようだ。店頭でゲームプログラムが記録されたメディアを買うという時代はこれまで30年続いたが、おそらくあと数年で終わるだろう。そのころ子供たちは何をほしがるのだろう。

写真

人形釣り。

以上が射幸系の露店である。

そういえば、ルーレットがなかったような・・・。写真を撮りわすれたか。

写真

その他の露店を見ていこう。

特徴的なのがこのママゴトセンターと呼ばれる店。みずほ銀行付近に数店ある。

写真

ひとつひとつのオモチャは安いのでついつい買いたくなってしまうが、ちょっとそろえるとすぐ1,000円くらいになってしまう。

写真

お面屋。

結局、探していたまゆ玉ころがしを見つけることはできなかった。おそらくもう露店ルートで購入するのは不可能なのだろう。ほかに、まだ買えるのではと期待していた、地球ゴマスピログラフも発見できなかった。

写真

続いて、お菓子関係。

らくがきせんべい。客がえびせんにシロップで絵を描き、お店の人が原色の粉砂糖を振りかけて砂絵のようなものを作ってくれる。色は客が指示できる。子供が小さくて色をうまく選べないときは、お店の人がおまかせで着色してくれる。

写真

綿菓子。

子供のころ、ほとんど買った記憶がない。大人になってからデートなんかで買うことのほうが多いのでは。

写真

リンゴ飴。

割りばしに差したリンゴに飴をコーティングしたもの。リンゴのみずみずしさと飴の硬さがミスマッチで、とても食べにくいものだが、私は縁日の食べ物では一番楽しみにしていた。めったに買ってもらえない高価な食べ物だった。

ほかに、ミカン飴、葡萄飴などもある。

写真

べっ甲飴。

赤や青の色もありにぎやかだ。

写真

チョコバナナ。

チョコレート色だけでなく、パステルカラーが増えている。

写真

前橋市民のソウルフード、焼きまんじゅう。

餡の入っていない素饅頭に、甘辛い味噌を塗ってあぶったもの。私も好物である。

露店で営業しているのは渋川の店が多い気がする。それともいろいろな縁日で私が同じ店を見ているだけなのだろうか。

(2010年01月09日訪問)

宿の主人が語る 究極の癒やし湯 (ヤエスメディアムック540)

ムック – 2017/9/13
遠間和広 (監修)人気の民間資格「温泉ソムリエ協会」の家元・遠間和広氏が監修を務め、各湯の魅力を丁寧に解説しているのが最大の特徴。

amazon.co.jp